- 再発転移がん治療情報
- メール医療相談事例紹介
- がん相談事例一覧
- 卵巣がん「手術後下痢が止まらない、治す方法は?」
卵巣がん「手術後下痢が止まらない、治す方法は?」
公開日:2011年10月24日
- プロフィール
- 日本人女性50歳 卵巣がん 肝臓への転移
- 相談内容
- 手術後からずっと下痢が止まらないが、治す方法はないか。肝臓に転移したが、肝臓癌の手術は難しいものなのか?
医師からの回答
- 放射線治療医
- 放射線腫瘍医としての意見です。あくまでも想像の域を出ませんが痛みと下痢、肝表面の腫瘍ということは腹膜播種と言うお腹の中に広く病気が拡がっていることが心配されます。万が一にもこの状態でしたら早めに抗がん剤治療を考えないと腸閉そくになる恐れや痛みがさらに強くなることも考えられます。肝表面への転移と言うのは卵巣がんの場合上記のような形をとることが多く手術は出来ません。CTなどの検査で現在の病状、そして痛みの原因を明らかにして主治医と方針を検討されたほうがよいと思います。少なくとも現在の症状は栄養療法では改善しません。(柏原先生)
- 外科医
- 消化器外科医として意見を述べます。
まず卵巣がんの大網切除術は、腹膜播種症例で数例依頼され参加しました。私の経験では、卵巣癌は化学療法が極めて有効です(関先生も指摘されています)。今回のがん治療の経過で、脳梗塞の併発や初回術後の経過が芳しくなく、大変な思いをされた、ことに関しては心から同情致します。その上で、敢て意見を述べます。その後の膀胱穿孔や他の症状と化学療法との因果関係を是非主治医の先生とよく検討して下さい。私は、全て化学療法の副作用ではないと思います。また、詳細な卵巣癌の手術記録などわかりませんので、想像の域ですが、もう一つ疑問点が有ります。肝転移に関して、肝臓の後方で横隔膜に接していると記載してありますが、血行性転移にしては稀な所見で、肝臓表面に播種した腫瘍ではないでしょうか。専門的で解り辛いことばかり述べましたが、有効な化学療法を再度考えて見る価値もあるような気がします。前述しましたように、もう一度主治医の先生と良く相談されて、今後の治療計画を立てて下さい。(草野先生)
- 腫瘍内科医
- 腫瘍内科医として意見を述べさせていただきます。
1、下痢に関しては、原因ははっきりとはわかりませんが、抗癌剤の影響で下痢が続いているのではないということは申し上げられると思います。 2、右の腰の痛みに関しては、これだけの情報では何とも申し上げられません。痛みが続くようでしたら、更に踏み込んだ画像診断(腹部CT、骨シンチグラム、腰部MRI)が必要と考えられます。 3、卵巣癌の肝転移に関してですが、一般的には手術療法は勧められていません。ただし、そこのみに転移部位が限局しており、卵巣を含め他の部位が完全に癌が存在せずコントロールが良好であると認められた場合は、考慮することもあります。それでも考慮の域をでないことが多いです。 4、総じて、卵巣癌は抗癌剤治療で完治は難しいとしても一定の治療効果が期待できることが証明されていますので、体調が許せば抗癌剤治療をがんばってほしいと思います。ただし、ワーファリン内服中であったり、膀胱瘻ができたり、1回目の副作用が強かったり、下痢が続いていたりで、抗癌剤を躊躇なさる気持ちもよく理解できますので、当方もこれ以上はなんとも申し上げることができません。1つ言えますことは、原発部位の卵巣はしっかりと取り切れたのかどうかの確認に加えて、肝転移部位をこのまま置いておくと更に増悪することが明らかに予想されますので、そのことにも深い配慮の念をおきつつ、今後の抗癌剤の施行有無やその他の治療の導入有無をご高配ください。(関先生)
- 代表理事(総合内科専門医)
- 内科総合専門医としてまとめさせていただきます。先生方のおっしゃる通り、手術適応は無く、やはり抗がん剤治療と考えます。主治医の先生にお話しして量や種類を決めるのが良いと思います。
樹状細胞ワクチンなどの免疫療法も可能ですが、今までの明細胞癌での経験的データで申し上げますと、やはり化学療法との併用が効果をあげていると思います。(田口先生)