副作用の軽減が期待されている陽子線治療

公開日:2011年05月31日

陽子線治療の現状と費用

陽子線治療を行うためには、照射中の体の動きを固定するための固定具を造ります。それに続き、CT検査を行い、放射線腫瘍医や医学物理士、放射線技師が治療の計画を立案します。また、ボーラス・コリメータといった特殊な器具を患者さんの病巣に合わせ固有に作製します。ボーラスは陽子線の深さ方向の到達範囲を調節するものです。コリメータはがん病巣だけに照射するよう照射の横方向の範囲を制限する器具で、陽子線を病巣以外の範囲に当らないようにするためのものです。 このように照射を行う前の準備に数日を要します。治療にかかる時間は、照射の方向や回数は患者さんによって異なりますが、おおよそ、10~40分ほどと言われています。  陽子線治療は厚生労働省より先進医療として認可されていますが、治療費は保険適応外です。おおよそ250万~300万ほど治療費がかかります。都道府によっては陽子線治療を受ける人が利用できる補助制度(陽子線治療資金利子補給制度)を設けている場合がありますので、治療を受ける病院や自治体に確認をしてみましょう。

さらに陽子線集中性を高める新しい陽子線技術

放射線治療には放射線をいかに病巣以外の部位へ照射しないようにするか様々な方法が用いられています。現状、国内における陽子線治療においては予め大きく3次元的に均一な線量分布を形成し、それを患者さん毎の腫瘍形状に整形するブロードビーム法と呼ばれる照射手法を採用しています。しかし、さらなる集中性を高めるべくペンシルビームスキャニング法と呼ばれる方法が今後開発されて、臨床現場でも用いられる予定です。この手法は、ビームを細く絞りピンポイントの照射をすることで、複雑な患部の形状を正確にトレースし、がん患部のみを照射することができる方式です。この手法の導入により、これまでより腫瘍への陽子線集中が可能となり、高精度の陽子線治療が実現できることが期待されています。

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