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【最新医療】再発・転移と闘う「放射線治療」の基礎知識
近年、がんの放射線治療は目覚ましい進歩を遂げています。新たな照射技術が開発され、がんの状態によっては、手術と同等かそれ以上の効果があるとも言われています。しかし、欧米では全がんにおける放射線治療の割合が60~70%であるのに対し、日本は30%ほどにとどまっています。なぜ、日本では放射線治療の普及が進まないのでしょうか?
目次
放射線治療の普及が遅れた理由とは?
当サイトの運営主体(一般社団法人 あきらめないがん治療ネットワーク)の会員である「東京放射線クリニック」の診療放射線技師長・高田善之さんは、次のように説明します。
「日本は世界で唯一の被爆国であることから、放射線に対する抵抗が強いと言われています。しかし、管理された放射線治療は安全で、正常組織を傷つけることなくがんを治療できます。再発・転移の患者さんには、ぜひ治療の選択肢に含めて欲しいと思います」高田さんによると、一口に放射線治療といっても、その種類はさまざまだとか。まず、照射に使う装置は下記のように分類されるそうです。
「最も一般的な装置は『リニアック』(直線加速器)といって、エックス線や電子線を照射して、がん治療するタイプです。ほかに、CTを組み合わせてより正確な照射をする『トモセラピー』もありますが、リニアックの中には『ノバリス』などがありますが、当院ではバリアン社製上位機種『トリロジー』を採用し、最新鋭の高精度放射線治療を行っています」
最新鋭の照射が可能な「トリロジー」
トリロジーは、「IMRT」(強度変調放射線治療)、「SBRT」(体幹部定位放射線治療)、など新しい照射技術ができるのが特長。がんの形や深さ、状態に合わせた、きめ細やかな放射線照射が可能になります。これまで治療が難しかったタイプのがんでも、諦めずに済むことがあるそうです。
「IMRTは放射線の強さを自在にコントロールできるため、腫瘍の形が複雑な場合でも適用されます。また、腫瘍が正常組織に隣接していても、うまく避けながら照射することが可能ですから、副作用を最小限に抑えながら放射線治療が受けられるのです。一方、SBRTは高線量をピンポイント照射できる方法です。こちらも正常細胞を傷つけにくいうえ、治療期間が短く済むメリットもあります」
こうした高精度射線治療は、放射線の照射位置を確実に決めることが大切です。それを補う技術を「IGRT」(画像誘導放射線治療)と言いますが、同クリニックでは「OBI」と呼ばれる装置を用いてIGRTを行っています。
「OBIは、治療台に寝ている患者さんのエックス線(レントゲン)やCTを撮影し、治療計画時の画像と照らし合わせて、わずかなズレがあれば微調整します(2D/2Dマッチング、3D/3Dマッチング)。遠隔操作で治療台を動かし、正確な位置へと移動させるため、事前の計画と齟齬が生じることなく治療できます」
再発・転移でもあきらめなくていい
では、高精度放射線治療はどんな患者さんが受けられるのでしょうか? IMRTはすべての固形がんに保険適用されており、SBRTは肝臓がん、肺がんでいくつかの要件を満たした場合に保険適用されています。
「当院の場合、6~7割が前立腺がんの患者さんで、60~70代の男性が多いですね。次は乳がんで40~50代女性。時折、乳がんの患者さんが『手術を受けず治したくて』と来院されるケースも見られます。IMRTはリンパ節転移のがんにも効果があり、骨盤内リンパ、傍大動脈リンパなどにも行なっております」
痛みが強いことで知られる骨転移は、通常の放射線治療も適用されますが、一度照射した部分への再照射ができません。しかし「IMRTを使えば、一度目の照射でダメージを受けた部分を避けながら緻密な治療を行える場合もあります。痛みの緩和効果が期待できるんですよ」と高田さん。その場合は自費診療になる可能性がありますが、選択肢の1つとして覚えておきたいものです。
初診から治療まではわずか1週間
高精度放射線治療は、今後も広がりを見せそうですが、トリロジーを持っている医療機関はまだまだ少ないのが現実です。装置の設置費用が高く、公的保険を使用するための施設認定基準が厳しいため、都内でも大病院以外は数件の医療機関に限られています。東京放射線クリニックはその1つ。
「大きな病院と異なり、診察や会計の待ち時間がほとんどなく、来院して30分以内に帰宅できる場合がほとんどです。仕事帰りに立ち寄る患者さんも多いですね。専従のスタッフがいますから、初診から治療開始までは1週間ほどとスピーディーな点も、クリニックならではと言えるでしょう。都内はもちろん、他府県からの患者さんもいらっしゃいます」
もしも主治医から放射線治療を提案されない場合は、セカンドオピニオンをとることも可能です。もしくは、各学会のガイドライン等で自分のがんが放射線治療の適用になるかを調べ、主治医に相談するのもよいでしょう。そこに、再発・転移のがんを治す可能性があるはずです。
取材協力「東京放射線クリニック」
http://www.troc.jp/
ポイントまとめ
- 一般的な装置は、エックス線や電子線を照射して、がん治療をする『リニアック』である。ほかにも、『ノバリス』や、『トモセラピー』などもあるが、東京放射線クリニックでは『トリロジー』を採用、最新鋭の高精度放射線治療を行っている。
- トリロジーは、「IMRT(強度変調放射線治療)」、「SBRT(体幹部定位放射線治療)」、など新しい照射技術ができる。がんの形や深さ、状態に合わせた、きめ細やかな放射線照射が可能。
- 放射線の照射位置を確実に決めるための技術が「IGRT(画像誘導放射線治療)」である。IGRTを使用して、治療計画時の画像と照らし合わせて、わずかなズレがあれば微調整する
- IMRTは全ての固形がん、SBRTは肝臓がん、肺がんで条件を満たせば保険が適用される。またIMRTは、一度目の照射でダメージを受けた部分を避けながら緻密な治療を行える場合があり、また痛みの緩和効果にも期待ができる
- 東京放射線クリニックでは、診察や会計の待ち時間がほとんどないため来院して30分以内に帰宅できる場合が多い。初診から治療開始までは1週間ほどと早い
- 主治医から放射線治療を提案されない場合は、セカンドオピニオンの選択や、各学会のガイドライン等でご自分のがんが放射線治療の適用になるかを調べ、主治医に相談するのも一法
取材にご協力いただいたドクター
柏原 賢一 (かしはら けんいち) 先生
一般社団法人あきらめないがん治療ネットワーク 理事
- 医学博士
日本医学放射線学会 放射線治療専門医
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