【QOL(生活の質)】がん治療中の疲労対策

公開日:2015年10月30日

目次

 闘病中のつらい症状の1つが疲労や倦怠感で、がん治療中や治療後の患者さんの多くに見られる症状です。長引く疲労と倦怠感は、心身ともに消耗して日々の生活にも支障を及ぼすことがあります。適切な医療とセルフケアでQOLを向上させましょう。

がん治療中に感じる「疲労」と心身への影響

 力が出ない。体が重い。だるい。元気が出ない。やる気が起きない。横になっていたい。一晩熟睡しても疲れがとれない――こんな症状に悩まされていませんか? 該当する症状があれば、それはがん関連疲労かもしれません。

実は、がんの治療中や治療後に疲労や倦怠感を感じる人は少なくありません。通常の疲労は、例えば一晩熟睡するなど休息をとれば回復します。しかし、がんに伴う疲労や倦怠感は、睡眠や休息をとっても改善しにくく、長く継続することが多いのが特徴です。そのため、日常生活に影響を及ぼすことが少なくありません。

がん関連疲労の原因

 疲労はエネルギーがなくなった状態であり、以前は普通にしていたことができなくなることです。なぜ疲労が起こるのか、明確なメカニズムはよくわかっていません。

しかし、手術や化学療法、放射線治療、免疫療法、骨髄移植などの、一部のがん治療やがんに関連する治療は疲労の原因になることが知られています。つまり、治療の副作用である場合があります。

また、がん細胞が産生する物質にエネルギーを取られたり、痛みや吐き気などのつらい症状による疲労が蓄積したりすることも原因であると指摘されています。こうした直接的な原因だけではなく、不安、ストレス、気分の落ち込みなど、がん闘病に伴うさまざまな要因が重なり、心身のエネルギーを消耗。それが疲労を引き起こし、長期化させているといえます。

疲労を軽減するための医療的対策

 疲労や倦怠感があるからといって、それが治療の効果がないとか病気が進行していることを示しているのではありません。こうした思い込みはさらなる疲労感につながります。つらいときには受診し、担当医に伝えましょう。症状を軽減する治療や対処方法の指導を受けられます。

慢性的な痛みがあると、エネルギーを消耗させ、食欲不振や不眠、うつなどの症状を引き起こすことがあり、これらが疲労や倦怠感の引き金になっていることが少なくありません。一方で、痛みやうつ症状、不眠などの治療薬が疲労を増大させることもあります。薬を服用中であれば、疲労や倦怠感を軽減するために薬剤の見直しがあるかもしれません。

また、貧血が疲労や倦怠感を引き起こしていることもあります。そうした場合には、輸血や薬剤などの治療で症状が軽減することがあります。適度な運動は活力を高めるために有用です。楽しめる運動を実施した乳がん経験者はそうでない人に比べて疲労が軽くなり、日常活動に関与する能力が向上したという研究報告もあります。体調に応じてどのような運動をすればいいのかを受診して指導を受けることも治療の一環です。

なお、がん診療連携拠点病院やその他の病院で開催されているがん患者会などに参加して、対処法などの情報を得ることも有益です。同じ体験をした仲間と話し合う中で、解決のヒントや心の持ちようなど、疲労軽減に役立つ情報が得られるでしょう。

photo_qol201511

疲労を軽減するセルフケア

 日常生活の中で、無理なくできるセルフケアもあります。疲労でつらい場合には、次のように対処してみましょう。

・心身の調子が悪いときは無理をしない
強い疲れやだるさを感じたり、気分的な落ち込みや不安などでやる気の起きないときには、無理をしないで体調に合わせて過ごしましょう。
心身の疲労を1つの症状として受け止めて。決して自分を責めないことが大事です。
・バランスのとれた食事をとる
健康な食事は活力を保ち、疲労の改善につながります。栄養は1食単位で考えるよりも1週間単位でバランスが取れるようにするといいでしょう。
・1日の計画を立て、大切なことだけを行う
疲労を感じるのは心身のエネルギーが低下しているときです。家事や仕事に取り組む際は「あれもこれも」ではなく、取捨選択して「これだけ」やれば十分としましょう。
気力があるときに、自分の行動・活動をリストアップして優先順位をつけておくと役にたちます。
・ほかの人に援助を頼む
取捨選択した「これだけ」以外は、誰かに頼むことも心身の回復につながります。負担となる活動は誰かに代わってもらうとか、助けてもらうようにしましょう。
遠慮したり「断られるかも」と恐れたりしないで、まずは周囲の人に相談してみてください。
・活動の合間にリラックスタイムを
仕事や家事の合間に短い休憩をとり、心身を休めてリラックスすることも大切です。エネルギーを充電しながら暮らしましょう。
昼寝もいいですが、夜にしっかり寝られるように、昼寝は20~30分にとどめるように注意してください。
・規則正しい生活をするように努める
日常生活のパターンを決めておきましょう。また、早寝早起きなど、日常の良い生活習慣を崩さないようにしましょう。
・運動で心身をしなやかに
適度な運動は体力を維持するだけでなく、気分転換にもなり、よい睡眠にもつながります。
運動する際は自身が楽しめるようなものを選びましょう。なお、運動を始める前に担当医や医療チームに相談することをお勧めします。

 

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。