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【QOL(生活の質)】薬の飲み忘れを防ぐコツ
目次
抗がん剤に副作用予防薬、そして高血圧や糖尿病などさまざまな合併症の治療薬……。服用する薬の種類が多くなると、薬を飲み忘れたり、逆に飲み過ぎたりするなど、医師の指示どおりに服薬することが難しくなってきます。服薬管理を向上・維持するための対策を紹介します。
服薬管理が重要な理由
がんの薬物治療には、抗がん剤のほかにも制吐剤や鎮痛剤など副作用を抑える薬も加わるため、処方される薬剤の種類が多くなります。さらに、高齢になるほど、高血圧や糖尿病など、さまざまな合併症を持つようになることが多いので、服用すべき薬剤の種類も数も増えてしまいがちです。
医師は、患者さん一人ひとりの身体状況や治療内容、合併症を考慮するだけではなく、副作用予防・対策などにも配慮した適切な薬剤選択を行い、薬物治療の効果を最大限に引き出せるように努めています。
こうして医師が患者さんのために処方した薬は、いわばその患者さんの体調に合わせたオーダーメードと言えるでしょう。しかし、薬物治療は、決められた投与方法に従ってこそ最大の効果を発揮します。だからこそ、飲み忘れのないように、しっかりと管理する必要があるのです。
飲み忘れを防ぐ工夫
【薬の種類と服用事項の確認】
薬を受け取ったら、薬の袋や薬の説明書に記載されている次の項目を確認しましょう。2種類以上の薬を受け取った場合には、個々の薬について各項目をしっかりと確認してください。
・1日何回飲むのか
・1回に何錠飲むのか
・服用時間
【お薬カレンダー(服薬予定表)を活用する】
病院によっては、薬の服用予定のスケジュール表を渡してくれることもあります。そうしたスケジュール表がない場合は、インターネットで「お薬カレンダー」というキーワードで検索すると、通信販売で購入できる市販品や無料ダウンロードできるデータが見つかります。使い勝手のよいものを探して利用するといいでしょう。
また、患者さん自身で作るかご家族の方に作ってもらうのもよいでしょう。エクセルなどの表計算ソフトを使って作成してもいいですし、目につくように大きめのカレンダーを用意し、「何時に」「どの薬を」「何錠」服用するのかを記入しておきます。そして薬を飲むたびにチェックすれば、飲み忘れを防ぐことができます。
【記録をつける】
服用を忘れないためには、「お薬カレンダー」(服薬予定表)以外に、ノートを1冊用意して服薬日記をつけてみることもよい方法です。きちんと服薬したかどうか、さらに吐き気などの副作用の有無や「だるかった」「食欲がなかった」、あるいは「とても調子がよかった」など、その日の症状や状況を簡単にメモしておくといいでしょう。
特に抗がん剤の中でも、薬を飲む期間(服用期間)と飲まない期間(休薬期間)があるティーエスワン○Rやゼローダ○Rなどは、副作用の種類や程度によって、1回分の服用量を加減したり、服用期間を短縮したり逆に休薬期間を長くしたりする場合があります。
そのために服薬日記をつけておくと服薬の確認はもちろん、通院時に医師や薬剤師にその記録を見せれば治療にも役立ちます。
【食事を服用のタイミングの目安にする】
飲み忘れを防ぐには、食事の時間に合わせて服用することも大事です。薬の多くは「食前」「食後」などと、食事の時間に合わせて服用するように指示されているものが少なくありません。これは、一般に飲み薬(内服薬)は主に胃や小腸で吸収されるためです。
しかし、胃の状態は食事の前後で大きく変化し、胃の状態によって薬の効果が左右されることがあるので、「食前」「食後」など食事のタイミングを目安に細かく指示されているのです。よくある勘違いは「食間」という指示を「食事中に薬を飲む」と誤解することです。指示を正しく理解しておきましょう。
食前 | 食事する30分くらい前 |
食直前 | 食事する直前 |
食直後 | 食事した直後 |
食後 | 食事した30分くらい後 |
食間 | 食事した2時間くらい後 |
食中 | 食事している最中 |
【飲み忘れ防止グッズやアプリの活用】
薬を種類別に保管する容器を利用し、飲み忘れを防止するのも有効な方法です。その一例が、百円ショップ等で販売されている、朝・昼・夕・寝る前の薬を1 週間分、曜日ごとに分けて入れるケース。いつ服用する分なのか一目瞭然で便利です。
1週間分(月曜日から日曜日の朝・昼・夜・寝る前)の薬を区分して整理できる、壁掛けタイプの透明ポケット型容器や、服薬時間が来るとアラームが鳴って知らせてくれる時計と薬ケースがドッキングしたアラーム付きピルケースなどもあります。これらは、薬局、ドラッグストア、インターネットの通信販売などで購入できます。
また、スマートフォンには、決められた時間にちゃんと薬を服用できるよう教えてくれる無料のアプリケーションなどがあります。いずれも、患者さん自身が使いやすいものを選ぶといいでしょう。
【家族の協力】
服薬の自己管理がうまくできない高齢の患者さんには、家族の協力が大きな服薬支援になります。患者さん自身がきちんと服薬できているかどうかを見守り、ここで紹介したことを参考に上手にフォローしてください。
飲み忘れたときの注意
最後に、大切な注意事項をお伝えします。飲み忘れたからといって、一度にまとめて薬を服用しないでください。具合が悪くなることがあります。人間には「うっかりミス」がつきものです。飲み忘れをしたことのない患者さんも、転ばぬ先の杖として、「飲み忘れに気がついたときにどうしたらいいのか」事前に医師や薬剤師に確認しておきましょう。薬は指示通りに飲むことが大切です。
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タグ2015年10月
※掲載している情報は、記事公開時点のものです。