【医療情勢】歯科との連携で副作用対策

公開日:2013年03月01日

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がん治療が原因で起きる口の中のトラブル

がんの治療中は、副作用や合併症によって口の中にさまざまなトラブルが発生しやすくなります。抗がん剤治療では、口内炎や口腔内の感染症。放射線治療では口の渇きに悩む患者さんは少なくありません。頭頸部への放射線療法や化学療法、あるいは「ビスフォスフォネート製剤」といって骨転移を治療する薬剤を服用する場合は、特に口腔合併症が起こるリスクが高いと言われています。

また、口腔がんや舌がんなど口腔領域は、手術中に歯周病菌などから感染症を起こし、予後を悪くしてしまうことがあります。重症化すると歯やあごの骨が壊死してしまうこともあり、がん治療を中断せざるを得ない場合もあるほどです。
こうした口の中のトラブルがあると、食べ物や水分を十分に摂取できなくなり、栄養状態が悪くなってしまいます。さらに、口の中の環境が清潔でない状態では、療養中に誤えん性肺炎を起こすことがあります。全身の体力が急速に低下する原因になりますから、治療前の歯科治療や、治療後の口腔ケアは非常に大切なのです。

がん患者の歯科治療ができる歯科医師の探し方

2012年度からは、がんを治療する病院と地域の歯科医院が連携し、歯科治療や口腔ケアを行った場合「周術期口腔機能管理」という保険診療上の項目が認められるようになりました。医科と歯科の連携を、国としてバックアップする流れにあるということです。すでに医療機関によっては、がんを治療する医師と歯科医師、歯科衛生士などが「口腔ケアチーム」を作って活動しています。

がんの治療をする前に、虫歯や歯周病の治療、歯石除去をしたり、治療後のブラッシング、うがいなどのやり方を指導したりしています。早い段階で口の中の衛生環境を整えることで、副作用や合併症の予防、軽減を図っているのです。
もしも、入院や通院している病院で歯科との連携が行われていなければ、自分のかかりつけの歯科医院に相談してみるといいでしょう。日本歯科医師会は、歯科医師向けに「がん患者の歯科治療に関する講習会」を開催しており、それを受講したことのある歯科医師であれば、がん治療との兼ね合いを考えた治療を行ってくれるはずです。
講習会を受けている歯科医師を探す場合は、地元の歯科医師会に問い合わせてみるといいでしょう。

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