緩和ケア病棟・在宅緩和ケア

公開日:2012年03月01日

目次

前回は緩和ケアの概要についてお伝えさせて頂きました。今、緩和ケアとは、主にがんにともなう肉体的・精神的苦痛で悩む患者さんをサポートする専門的治療を指します。緩和ケアを受けることができる施設のことを緩和ケア病棟といいます。また、在宅でも緩和ケアを受けることができます。そこには緩和ケアチームといった医師のみならず、専門看護師や薬剤師、ソーシャルワーカー、臨床心理士などが協働して患者さんを様々な面(痛み、だるさ、不眠、こころの苦痛など)からサポートする役割を担っています。

緩和ケア病棟の役割


















緩和ケア病棟は、痛みなどの身体的苦痛が強くなってくるなどして、外来だけの診療では十分な対処ができなくなってきたがん患者さんや、手術・放射線・薬物療法などの一般的な治療を終えた患者さんが入院するための病棟となっています。一般的には緩和ケア病棟では、痛みを和らげるような身体症状のケアをおこなったり、患者さんやそのご家族の意思を尊重しながら、コミュニケーションを図っていくことを目的としています。入院している患者さんの中には、治療を継続しながら病気と闘う意思を持ち続けている方もいらっしゃいますし、、最後の時間を大切にという気持ちで過ごしている方もいらっしゃいます。一般病棟とは異なる場所となっています。 施設によっては、病院の屋上に庭園や芝生を作って季節を感じさせる環境整備を行っていたり、付き添いのご家族の方のためのサービスを行っているところもあります。また音楽などの文化的な催し物を開催しているところもあります。

在宅緩和ケア病棟の役割

在宅緩和ケアとは、病棟に入院するのではなく、住み慣れた自宅にて、家族や近親者と一緒に生活を過ごしたいという方が望まれる医療体制のことです。在宅緩和ケアでは、ご自宅にてケアが行われていくのですが、その内容は緩和ケア病棟と変わりありません。在宅緩和ケアを行っている病院やクリニック・診療所の専門医を中心として、定期的に自宅に訪問してもらいケアを継続することになります。ただ、体調の急変があった場合などは、緩和ケア病棟と比べると対応が遅れてしまうということも、患者さんやご家族は知っておく必要があるでしょう。自宅での療法ということになりますので、ご家族の方のケアも大変重要になってきます。在宅ケアを行っている医療者は家族へのサポートもしていますので、ご家族の方から、在宅ケアを行う医療者へ相談することもできるでしょう。在宅=介護負担が大きいとのイメージがありますが、患者さんにとっては、家にいることで精神的に穏やかになる方も多くいらっしゃるようです。

図1:緩和ケア病棟の施設基準


























緩和ケアを受けることのできる施設を紹介いたします。

緩和ケア病棟のある施設一覧(日本ホスピス緩和ケア協会)

緩和ケア病棟は厚生労働省が施設基準を示しており、専門病棟として届出を受理された施設が全国各地にあります。都道府県別にクリックすると、緩和ケア病棟の県別一覧を見ることができます。利用にあたっては、現在かかっている病院の主治医や看護師などにご相談頂くか、ソーシャルワーカーなどにご相談下さい。該当する緩和ケア病棟を直接お問合せ下さい。
http://www.hpcj.org/uses/pcumap.html

在宅緩和ケア(日本ホスピス緩和ケア協会)

緩和ケアを提供する診療所・訪問看護ステーション等の44団体が一覧でみることができます。在宅緩和ケアとは緩和ケア病棟に入院するのではなく、医師や訪問看護師などが自宅に訪問し、患者さんの苦痛症状を和らげたり、精神的支援を行うことをいいます。かかりつけ医や市町村の窓口(介護保険課・高齢福祉課など)、訪問看護ステーションなどにご相談下さい。
http://www.hpcj.org/list/relist.html#rhmember

緩和ケアチーム(日本ホスピス緩和ケア協会)

緩和ケアチームとは、緩和ケアを専門とする医師・看護師・薬剤師等で構成されるチームのことをいいます。チームによって、緩和ケアが必要な方に専門的なケアを提供するものです。 厚生労働省が基準を示しており、チームとしての活動の届出を受理された施設、また、がん診療連携支援病院などでケアを受けられます。

http://www.hpcj.org/what/pct_list.pdf

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