【トピックス】がんの早期発見・早期治療に重要ながん検診。
正社員以外のがん検診受診率の低さが明らかに

公開日:2019年12月26日

がんの早期発見・早期治療を目的とする「がん検診」。厚生労働省では、がん検診の受診率を「50%以上」とする目標を掲げ、がん検診の受診を推進していますが、「平成30年度 東京都がん予防・健診等実態調査」によると、正規雇用労働者(正規の会社員、職員)とそれ以外の雇用形態で、がん検診受診率に大きな差があることが明らかになりました。同調査内容を詳しくご紹介します。

目次

早期・進行期で大きく異なる生存率。
早期発見・早期治療にはがん検診が重要

日本では3人に1人ががんで命を落とするともいわれ、他の部位などに転移のない早期がんか、他の部位に広がっている進行がんかによって、生存率も大きく異なります。

例えば、日本におけるがんの罹患数が最も多い大腸がんの5年生存率を見ると、早期(Ⅰ期)の5年生存率は83.4%と高率ですが、他の部位に転移した進行期(Ⅳ期)ではわずか16.7%と、生存率が大きく下がります※1

そのため、まずはがんをできるだけ早い段階で見つけ、早く治療を行うことが大切です。定期的にがん検診を行うことで、早期に見つけられる可能性も高まり、がんを治せる可能性も高まります。

※1 国立がん研究センター「がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計」
(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv.html)

勤め先の方針によって左右されるがん検診受診率。
学生・無職は受診率3割を下回る検診も

こうした中で東京都福祉保健局は、東京都内に住む成人男女5,000人を対象にがん予防に関する意識やがん検診の受診状況等の実態調査を実施。その結果、がん検診の受診率が雇用形態により大きく異なることがわかりました。

正規雇用労働者(正社員)は、五大がん検診(胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がん)のいずれも受診率が60%以上で、特に胃がんや乳がんの検診受診率は、70%前後と高率になっています。

一方、非正規雇用労働者や、自営・フリーランス、学生・無職の方における受診率は、総じて正規雇用労働者の受診率を大きく下回っています。

例として、胃がん検診の受診率をみてみましょう。

■雇用形態別、胃がん検診受診率

胃がん検診の受診率

※平成30年度 東京都がん予防・検診等実態調査より作図
(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/gan/toukei/pdf/2018/2018survey_brief.pdf)

正規雇用労働者に比べると、非正規雇用労働者は30.9ポイント、専業主婦・主夫は23.1ポイントも低い受診率です。

胃がん以外の検診も同様に、正規雇用労働者では60%以上ですが、それ以外では26.1%(子宮頸がん検診:無職等)~54.0%(乳がん検診:非正規雇用労働者)程度と、正規雇用労働者の受診率を大きく下回る結果となっています。

では、なぜここまで受診率に差があるのでしょうか。

同調査では、事業所(雇用主)のがん検診実施率も調査しており、正規雇用労働者については54.8%(子宮頸がん検診)~70.1%(胃がん検診)と、半数以上の社員にがん検診を実施しています。

しかし、正規雇用労働者以外については、最も高い肺がん検診でも33.6%、最も低い子宮頸がん検診に至ってはわずか23.3%の実施率にとどまっており、肺がん検診を除く四つのがん検診において、未実施の事業所が実施を上回る結果となっています。

さらに、胃・大腸・肺の三つのがん検診では「職場の健康診断で受けた」と回答した人が最も多く、職場の方針や環境が受診率に大きく影響していることが分かります。

区市町村や医療機関などが行うがん検診の活用を

職場や普段の生活で、がん検診の受診機会がない人は、区市町村が実施するがん検診を受診するなども一つの方法です。

例えば東京都では、以下のページで各区市町村のがん検診の問い合わせ先や検診内容を調べることができます。

■東京福祉局ホームページ
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/gan/contact/index.html

また、医療機関・検診機関などが任意で提供する人間ドックなどでは、五大検診以外の検診も受けることもできます。

がん検診の種類や詳しい選び方などについて、下記記事でご紹介していますので、是非ご参照ください。

【特集記事】予防医療の専門医に聞く。「がん検診の正しい選び方」

コラム :がん検診ってなにをするの?

いざ、がん検診を受けようと思っても「乳がん検診は痛そう」「胃がん検診のバリウムがつらそう」といったマイナスのイメージが先行して、不安になる方もいるかもしれません。また、そもそもどういった検査を行うのか分からず、受診をためらっている方もいるでしょう。

そうした方にお勧めなのが、実際の検診内容をイラストで分かりやすく伝えている東京都保健福祉局のウェブサイトです。

■東京保健福祉局ホームページ「がん検診体験記」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/gan/kenshin/taikenki/index.html

例えば、「痛みがあるのでは?」と気にされる方が多い乳がん検診では、痛みがあっても一瞬であることや、乳房の張りが少ない月経直後に受診すると痛みを感じにくいといったアドバイスなどが記載されていますので、がん検診を受ける際はぜひ参考にしてみてください。

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