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【医療情勢】新しい専門医制度が2018年度からスタート

公開日:2016年7月29日

 2018年4月から新しい専門医制度が始まります。これまで学会ごとに独自の基準で認定されていた専門医は中立的な第三者機関で認定されるようになります。日本の専門医制度は約50年前から始まりました。1962年4月に日本麻酔科学会が日本麻酔指導医制度を発足させたのをきっかけに、66年に日本医学放射線学会と日本脳神経外科学会がそれぞれ専門医制度をスタートさせました。

さらに、68年に日本内科学会が、78年に日本外科学会がそれぞれ認定医制度を始めました。2002年以降は医業に関する広告の規制が緩和され、一定の基準を満たした学会は「専門医資格」の広告ができるようになり、各学会が専門医制度を設けるようになりました。

このように各学会により独自の基準や事情で専門医制度が作られてきたため、認定基準の統一性や専門医としての質の担保が懸念されていました。さらに、領域が重複したり細分化されすぎたりしてわかりにくく、認定や更新の基準も学会によって異なります。

専門医が公的な資格ではなく、質のレベルに差があることに不安を感じる患者さんにとっては、従来の専門医制度は受診の際の指標にはなっていなかったといえます。

そこで、厚生労働省は各学会に代わって専門医の資格認定を行う「日本専門医機構」(理事長:吉村博邦・北里大学名誉教授)を設置。学会との協働で新専門医制度を運用し、公的資格として専門医を認証することにしました。

新専門医制度では、専門医資格は「基本領域専門医」と、さらにより専門性の高い分野に分類した「サブスペシャルティ領域専門医」の2階建てで設定され、基本領域の専門医を取得したうえでサブスペシャルティ領域の専門医を取得するしくみになっています。

基本領域とは、内科、皮膚科、外科、産婦人科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、麻酔科、小児科、精神科、整形外科、眼科、泌尿器科、放射線科、救急科、リハビリテーション科、形成外科、病理、臨床検査、総合診療の19領域です。サブスペシャルティ領域には消化器病、循環器、呼吸器、血液、内分泌代謝科、糖尿病、腎臓、肝臓、アレルギー、感染症、老年病、神経内科、消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、リウマチ、小児循環器、小児神経、小児血液、がん、周産期、婦人科腫瘍、生殖医療、頭頸部がん、放射線治療、放射線診断、手外科、脊椎脊髄外科、集中治療の29領域 のほかに、各学会が承認を求めている領域があり,同機構で検討が行われています。

どの基本領域専門医を取得すると、どのサブスペシャルティ領域の専門医を目指すことができるのか、1階(基本領域)と2階(サブスペシャルティ領域)の連動についても検討が進められています。

新専門医制度の研修プログラムは、医師臨床研修制度に組み込まれる形で実施されます。現在の医師臨床研修制度では、大学卒業後に医師国家試験に合格した医師は全員が2年間の臨床研修を受けることが義務づけられています。

初期研修を修了した医師の多くは、さらに専門教育を受けるために3~5年間後期研修を受けます。新専門医制度では初期研修を修了した医師は、原則として全員が基本領域専門医の後期研修プログラム専門医として3年以上の研修を受けることになります。研修は大学病院などが基幹施設となり、地域の中小病院などと連携して行われます。研修プログラムの評価や専門医の認定は日本専門医機構が行います。

第44回社会保障審議会医療部会資料から
第44回社会保障審議会医療部会資料から

 日本専門医機構では、当初2017年4月から新専門医制度を実施する予定で準備を進めてきましたが、7月20日の理事会で、2018年度を目途に19の基本領域で一斉スタートすることを目指す方針を決定しました。2017年度の専門医研修については、各基本領域の学会にできるだけ既存の研修プログラムで運用するように求め、新制度での研修プログラムを導入する場合には同機構と話し合いながら実施するよう依頼することになりました。

新専門医制度の開始時期については、関係団体から、研修指導医が基幹病院に集中することで、医師の地域偏在、人材不足を招く可能性があることなどが指摘されており、検討が行われていました。

また、同機構の20日の理事会でも、領域によっては学会が設定する指導医や施設要件が厳しく、指導医数や症例数の不足から、これまで専門医の養成に携わっていた施設が専門研修施設として加われないという問題が明らかになりました。

新専門医制度は、現行の専門医制度のしくみを標準化して患者さんにとってわかりやすい医療体系を確立することが主要な目的です。本格的にスタートするには解決すべき課題が多いですが、制度改革によって日本の医療提供体制が患者重視へと大きく変わっていくことが期待されています。