- 再発転移がん治療情報
- 家族と社会のがん闘病サポート
- 医療制度・社会制度の活用
- 【医療情勢】確定申告「じょうずに医療費控除を受けるには」
【医療情勢】確定申告「じょうずに医療費控除を受けるには」
目次
医療費控除は、医療費を多く払った年に税金が戻ってくる制度です。今年の確定申告の期間は、2月16日から3月16日まで。医療費控除をしたことがある人も、見落としがちな点を改めて確認しておきましょう。
Q 妻ががん治療を受けました。医療費控除の対象となる人は?
A 1年間(1月1日から12月31日まで)に、治療を受けた本人だけでなく、生計を1つにする配偶者、その他の親族のために払った医療費が10万円を超える人です。また、10万円以下の人でも所得金額の5%を超える人も対象になります。
自営業の人は、昨年の所得と同時に医療費控除を申告して所得税を納めます。給与所得者は、会社が行う年末調整では受けることができないので、自分で確定申告を行い医療費控除の申告をすると、すでに払った税金が戻ってきます。
【注意】
1.年間所得とは年収のことではありません。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に記載されているので調べてみましょう。
2.医療費控除は、家族に収入のある人が複数いても、全員の医療費を合算して申告できます。家族の中で、一番収入が多く税率の高い人が医療費控除を受けると、戻る税金も多くなります。
Q がんで入院中、個室を利用しました。医療費控除の対象となる医療費は?
A 医療費控除では、治療のための費用が対象となり、予防のための費用は対象外です。がん患者さんが、療養上の理由(感染対策、痛みや吐き気による苦痛)で個室を利用した場合の差額ベッド代や、先進医療の費用、未承認の抗がん剤の薬剤費なども200万円まで対象となります。健康保険の対象とならない費用も申告できますので、見落とさないようにしましょう。
●医療費控除の対象として認められるもの
・病院での治療代
・医薬品代(治療のために買った市販薬代を含む)
・入院費用(部屋代、給食費、病院に払ったクリーニング代)
・治療に必要な差額ベッド代(自分の都合で利用した場合は対象外)
・介護費用(領収書などに「医療費控除の対象になる金額」と記載のあるもの)
・病院への付き添い費用
・人間ドックやがん検診などの費用(病気が見つからなかった場合は対象外)
・松葉杖や補聴器など(医師の指示で購入したもの)
・入院、通院のための交通費(電車、バス、タクシー代が対象。自家用車のガソリン代と駐車料金は対象外)
・医師の送迎費用
・マッサージ師、鍼灸師、柔道整復師による施術料(医師の指示のもと、神経痛や腰痛などの症状に基づく施術が対象)、など
【注意】
1.医療費控除を申告する際には、医療費の領収書を添付しなければなりません。薬局などで薬品名の記載がない領収書をもらった場合は、薬品名と製薬会社名を書いておきましょう。医療を受けた人ごとに、かかった病院別、薬局別に領収書をまとめ、医療費の集計を出します。領収書のない交通費については、日付と金額を記入した一覧表を作っておきます。
2.医療費控除の対象となるのは、1年間に「支払った医療費」です。治療を受けても支払ってないものは、翌年以降の医療費控除の対象になります。
Q 治療後、がん保険から保険金を受け取りました。医療費控除額の計算方法は?
A 医療費控除では、支払った医療費がすべて対象になるわけではありません。医療費控除額の計算方法は年間所得の金額によって異なります。
●年間所得が200万円以上の人
医療費控除額=支払った医療費-保険金などで補填される金額-10万円
●年間所得が200万円未満の人
医療費控除額=支払った医療費-保険金などで補填される金額-所得金額の5%
【注意】
1.がんに対して支払われた保険金は、がん治療に支払った医療費から差し引きます。ほかの病気やけがで支払った金額から差し引く必要はありません。
Q 医療費控除を受けるための手続きは?
A 確定申告書、医療費の明細書などの提出書類(表A)を管轄税務署に提出します。確定申告書と医療費の明細書の書き方は、国税庁のホームページやパンフレットに詳しく掲載されています。
表A 提出書類
申告書 確定申告書のA様式またはB様式(給与所得者はA様式を使用)
明細書 医療費の明細書
添付書類 源泉徴収票、医療費の領収書・レシート
【注意】
1.給与所得者が医療費控除を申告するだけなら、確定申告の期間でなくてもできます。「還付申告」として5年間受け付けているので、医療費を多く払った年があれば申告しましょう。
2.医療費控除をすると、所得税だけでなく、次の年の住民税も安くなります。
3.国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面上で必要箇所に入力すれば税額が自動計算されます。印刷して印鑑を押したものを申告書として提出できます。
無料相談
国税庁のホームページに「税についての相談窓口」があります。電話でも相談できます。
また、確定申告の時期になると、税理士による無料相談会が開催されます。開催場所や日時は、市区町村の税金担当窓口や税務署に問い合せてみてください。
カテゴリー家族と社会のがん闘病サポート, 医療制度・社会制度の活用
タグ2015年2月
※掲載している情報は、記事公開時点のものです。