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【医療情勢】がん経験者が活用できる民間保険
目次
がん経験者は、医療保険やがん保険に加入するのがむずかしく、これまで多くの人があきらめてきました。しかし、近年がんを克服される方が増えたことで、再発・転移に備える新しい保険が登場し、注目されています。保険に入るための審査基準をゆるくした民間保険について、検討の段階別(STEP1~3)に紹介します。
STEP1 一般のがん保険に入れる可能性があるのか、まずは検討しましょう。
がん経験者のための保険は、一般の保険に比べ受け取る保険金が少なく、毎月の保険料は割高なのが特徴です。まずは、一般のがん保険に入れる可能性があるのかどうかを検討しましょう。一般の保険に「特別条件付き契約」で入ったほうが、保険料や保障内容などの条件がよい場合があります。多くの場合、契約には医師の診断書が必要になります。診断書の書き方が保険会社の判断に影響することもありますから、医師によく相談しましょう。
●「特別条件付き契約」のパターン
「特別条件付き契約」には、いくつかのパターンがあります。
主なものは、1.保険金削減支払い(一定期間中に死亡および高度障害になった場合、保険金額を削減して支払われる。一定期間が過ぎると、通常の保険金が支払われる)、2.特別保険料の領収(通常の保険料に加え特別保険料を加算する)、3.特定部位・指定疾患の不担保(特定の部位および疾患について入院・手術保険金が支払われない)です。
STEP2 がん経験者でも入れる保険を検討しましょう。
最近は、がん経験者でも入れる保険や、がん経験者向けの保険があります。「引受基準緩和型保険」と呼ばれるもので、一般の保険より入りやすくなっています。引受基準緩和型保険は、その名のとおり、保険会社が「保険を引き受ける基準を緩和した保険」です。持病があっても入れますが、一般の保険より保険料は高くなります。現在、多くの保険会社が販売しており、「引受基準」は会社によって異なります。
【引受基準チェックの質問項目例】
□過去3カ月以内に医師の診察・検査・投薬・治療を受けたことがありますか?
□過去2年以内に人間ドッグで異常の指摘を受けたことがありますか?
□過去5年以内に手術を受けたことがありますか?
□過去5年以内に病気で医師の診察・検査・治療・薬の処方を受けたことがありますか?
●引受基準が厳しい保険と緩い保険
引受基準緩和型保険には、基準が比較的厳しいものと緩いものがあります。引受基準の違いは、各保険会社の質問項目を読むとわかります。例えば、治療歴について、A社は「過去5年以内にがんまたは肝硬変で入院したこと、または手術を受けたことがありますか」と尋ねます。
一方、B社は「過去5年以内にがん、肝硬変等の病気で入院または医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがありますか」と尋ねます。A社とB社を比較すると、B社は入院に加え「診察・検査・治療・投薬」についても尋ねており、A社より基準が厳しくなっています。
ここで注意したいのは、基準が緩いもののほうがよい保険とは必ずしもいえないことです。基準が緩ければ、それだけ保険会社が保険金を支払う可能性が高く、それだけ保険料が高くなります。引受基準がより厳しい保険に入れるのであれば、そちらを選んだほうが同じ補償内容でも保険料が安くすみます。
●引受基準緩和型保険の特徴
引受基準緩和型保険では、大きな病歴があっても一定期間が過ぎれば加入でき、加入前の病気が再発しても保険金が支払われます。また、この保険では加入から1年間「支払削減期間」が設けられ、この期間に入院・手術した場合は支払われる保険金が半額になります。
【がん経験者が入れる可能性のある保険】
1.アフラックの「医療保険 もっとやさしいEVER」
次の項目に該当しなければ加入できます。
□現在入院中ですか?または過去1年以内に入院(注1)・手術(注2)・先進医療(注3)・検査(注4)を勧められ、現在、診療完了していないものはありますか?
□過去2年以内に別表Aの病気で入院をしたことがありますか?
□過去5年以内に別表Bの病気や異常で医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがありますか?
(注1)「入院」からは、正常分娩のための入院は除きます。
(注2)「手術」には、帝王切開・内視鏡手術・レーザー手術なども含みます。
(注3)「先進医療」には、歯科で行う先進医療を含みます。
(注4)「検査」とは、健康診断・人間ドックまたは医療機関を受診した結果、診断確定のために勧められた再検査・精密検査をいいます。
<別表A>
糖尿病(高血糖や糖尿病の疑いを含む)、脳卒中、心筋梗塞、狭心症、不整脈、気管支喘息、慢性気管支炎、慢性肝炎(慢性C型肝炎、慢性B型肝炎を含む)、潰瘍性大腸炎、クローン病、リウマチ・膠原病、うつ病、神経症、パニック障害、不眠症
<別表B>
糖尿病の合併症(網膜症・眼底出血、腎症、下腿皮膚潰瘍・壊疽に限る)、がん(過去5年以内に診断確定・治療・投薬のいずれかがあるものに限る)、心臓病・動脈の疾患(心筋梗塞、狭心症、不整脈、脳動脈瘤を除く)、慢性腎不全(透析を受けたものに限る)、慢性の呼吸器の不全(酸素療法を受けたものに限る)、肺気腫・肺線維症、肝硬変、脳・神経の病気や異常、認知症、アルコール・薬物依存症、躁病、躁うつ病、統合失調症、その他の精神の病気や異常(うつ病、神経症、パニック障害、不眠症)、免疫不全症、原発性筋障害
2.アメリカンホームの「持病がある方も安心 みんなのほすピタる」
次の項目にすべて「いいえ」なら加入できます。
□最近3カ月以内に医師による検査または診察により、入院または手術を勧められたことがある。
□過去1年以内にケガや病気で入院したこと、または手術を受けたことがある(正常分娩は除く)。
□過去5年以内に、がんまたは肝硬変と医師に診断されたことがある。あるいは過去5年以内にがんで入院したこと、または手術を受けたことがある。
STEP3 次に無選択型保険を検討しましょう。
無選択型保険は、一定の年齢制限などはありますが、健康に不安がある方でも入れる保険です。健康告知や医師の審査が不要です。しかし、保険料が高く、保険料の払い込み総額が死亡保険金額を上回る場合もあります。
また、誰でも入れる保険であるため、「契約から2年以内に病気で死亡した場合の保険金は、それまでに払い込んだ保険料相当額になる」など、いくつかの制約を受けます。
【健康告知が不要な保険】
1.エース保険の「まかせて安心医療保険」
2.損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険の「新・誰でも終身」
ファイナンシャル・プランナーに相談しましょう
数多くの保険会社があり、それぞれに自分の健康状態を伝えて、問い合わせていくことは大変な作業となります。そこで、お金の専門家で保険にも詳しいファイナンシャル・プランナー(FP)に相談するものよいでしょう。
日本FP協会(FP資格試験を実施)が、無料相談窓口「くらしとお金のFP相談室」を設けるなど、FPによる無料相談サービスが広く行われています。また、各保険会社でも、FP保険相談サービスを無料で行っているところが多くあります。対応はそれぞれですが、相談者の目線に立ち、保険商品のメリット、デメリットをきちんと伝えてくれるFPを選ぶことが大切です。
保険商品については、販売中止になったり、契約条件が変更されたりする可能性もありますので、最新の情報については保険会社に直接確認するか、信頼のできるFPに聞いて、有効に活用するとよいでしょう。
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タグ2015年1月
※掲載している情報は、記事公開時点のものです。