セカンドオピニオンを 上手に利用しよう

公開日:2011年03月03日

目次

がんに立ち向かう-セカンドオピニオンを上手に利用しよう-

複雑多様な医療の中から、納得できる選択を

医療技術の発達にともない、がんを治すための検査や治療は複雑多様化してきました。さまざまな治療を選べるようになった反面、治療方針の選択に「本当に最善なのだろうか?」と迷う患者さんが増えています。主治医以外の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」は、そうした疑問に応えるための制度です。ヨーロッパやアメリカではすでに定着している制度で、日本でもかなり普及してきました。手術をしたほうがいいのか、放射線療法がいいのか、化学療法がいいのか。身体の負担が大きな検査をすべきか否かなど難しい選択をする際、多様な意見を聞くことでより納得できる医療を実現します。 セカンドオピニオンをとる流れは、下記の通りです。
  1. 主治医にセカンドオピニオンをとりたいことを相談する
  2. セカンドオピニオンを依頼したい医療機関を決める
  3. 主治医に「診療情報提供書」の作成を依頼する
  4. セカンドオピニオンを受ける

主治医との信頼関係を保つことが大切

再発・転移の患者さんの場合は、新しい治療計画を検討するタイミングでセカンドオピニオンをとることになります。主治医から治療計画についての説明をよく聞いた上で、セカンドオピニオンをとりたい旨を相談するのですが「主治医の機嫌を損ねないか」と心配する患者さんは少なくありません。本当はセカンドオピニオンをとりたいのに我慢していたり、主治医に黙ってセカンドオピニオンをとろうとする患者さんもいます。しかし、それでは納得できる医療にはつながりにくいのが現実です。 セカンドオピニオンを依頼された医師は、それまでの診療記録や検査データを含む「診療情報提供書」をもとに医学的判断をします。その「診療情報提供書」は主治医でなければ作成できませんから、仮に主治医に黙ってセカンドオピニオンを受けた場合は、情報不足でよいアドバイスが得られないのです。何人もの医師に意見を求めても納得できず、「ドクターショッピング」のような状態にも陥りかねません。がんの治療は長期にわたり、患者さんと医師の信頼関係が何より大切です。セカンドオピニオンをとりたいと思ったら、臆することなく主治医に相談しましょう。 がんは一生を左右する病気です。抗がん剤治療などは副作用などもあります。主治医から受けた診断や治療方針について、疑問や迷いがある場合や、ほかの医師はどういった意見を述べるのか知りたいなど、自分が納得してから治療を開始することが必要です。また、治療のガイドラインがないので緩和ケアをしましょうなどと言われた場合でも、病院によっては可能性のある限り3次治療や4次治療を相談できる施設があります。そういう時にもセカンドオピニオンを活用するとよいと思います。

セカンドオピニオンの窓口は増加している

では、セカンドオピニオンを依頼する医療機関は、どのように探したらよいのでしょうか。セカンドオピニオンを受け付ける医療機関は、全国的に増加傾向にあります。都市部のがん専門病院はもとより、地方の中核病院でもセカンドオピニオン外来のあるところは数多くあります。 それらの医療機関に直接電話をかけて、セカンドオピニオンが可能かどうかを確認するほか、主治医から直接紹介してもらう方法や、入院(または通院)している病院の「医療連携室」に相談して紹介してもらう方法もあります。あるいは、患者会を通じてセカンドオピニオンの依頼先を見つける患者さんも少なくありません。特に乳がんなどは、患者会の規模が大きく、セカンドオピニオンの相談にも乗ってくれるようです。 なお、セカンドオピニオンは健康保険給付の対象とはならないため、全額自己負担となります。30分2万円、1時間3万円などと医療機関ごとに値段が違うため、事前に確認しておきましょう。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。