【医療情勢】ここまでできる、がん相談支援センターの活用法

公開日:2016年12月30日

 がん相談支援センターは、全国の「がん診療連携拠点病院」などに設置されているがんに関する相談窓口です。患者さんや家族などが無料で利用できますが、その存在はあまり知られていません。

横浜市立大学附属市民総合医療センターのがん相談支援センターでは、医師、看護師、ソーシャルワーカー、管理栄養士、薬剤師などの多職種でチームを組んでおり、内容に応じて連携を取りながら電話や面接相談を行います。がん相談支援センターの活用法と共に、同医療センターの取り組みを紹介します。

がんに関することなら、だれでも、なんでも

がん相談支援センターでは、がん専門相談員として研修を受けたスタッフが、情報提供や相談にのっています。例えば、治療に関することや助成制度、療養の場の選択に困った場合などの相談をすることができます。

相談内容が他者に知られることを懸念される方もいるかもしれませんが、原則的に本人の同意を得ずにほかの人に話すことはないので、安心して活用することができます。それでも不安があるという人は、匿名の相談も可能です。全国のがん相談支援センターはwebサイト「 がん情報サービス 」で探すことができます。

また、近くのがん診療連携拠点病院を探す手伝いを電話でしてくれるサービス「がん情報サービスサポートセンター(0570-02-3410)」もあるので、こちらも活用してください。

横浜市立大学附属市民総合医療センターの看護師、東谷由美香さんは「がんに関する相談だったらどんなことでも受けています。気軽に相談に来てください」と言います。同医療センターのがん相談支援センターでは、東谷さんがまず相談を受け、例えば、経済的な相談の場合はソーシャルワーカー、薬に関する相談の場合は薬剤師、食事や栄養に関する相談は管理栄養士といったように、相談内容によって、対応するスタッフを振り分けます。「相談を受ける時には適切な窓口へしっかりと繋がるように気を付けています」と東谷さん。

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横浜市立大学附属市民総合医療センターのがん相談支援センター。左から松岡さん、大柄根さん、若杉さん、東谷さん=横浜市立大学附属市民総合医療センターの提供

管理栄養士による食事の相談も可能

 同医療センターのがん相談支援センターの場合、多職種連携の中に管理栄養士が入っていることが大きな特徴です。抗がん剤の副作用で食欲がなくなったり、味覚障害が起こったりする患者さんに、家族からなにを食べさせればいいか、という相談があります。

患者さんの家族は、「食べる」ということを健康の指標にして、しっかりと食べればよくなると思っている方も少なくないようです。「治療の影響で患者さん自身は食べられない状態なのに、家族は食べさせたい、というアンバランスな状況になってしまうことがあります。中には、一般的なメタボ対策の健康的な食事と、がんにいい食事を混同している方もいます。

メタボ対策の食事だと、低カロリーになってしまい、がん患者さんには好ましくありません。患者さんが食べたいものを食べたいときに食べさせてあげてくださいと伝えるようにしています」と管理栄養士の松岡朋子さんは話します。

「なにを大切にしているか」を重視して助言

 抗がん剤の治療では、副作用の問題があります。副作用について、担当の医師先生に直接相談をするのが難しい場合は、がん相談支援センターで相談することもできます。治療法を決めるときは医師との話し合いになるので、がん相談支援センターでは、医師への相談の仕方をアドバイスしています。

同医療センターの薬剤師、大柄根いづみさんは「例えば、患者さんが手先を使う仕事や趣味を大切にされている方であれば、手にしびれが起こるような抗がん剤は避けるように助言したうえで、同じような効果が期待できる別の治療法がある、という情報を伝えます。

もしも副作用が気になるなら相談してもらえればと思っています。治療を受ける患者さんがなにを大切にしているか、ということが一番重要ですから、その大切にしていることを続けていけるように支援しています」と話しています。

漠然とした不安を感じている患者さんが多い

 同医療センターでは、まず電話や窓口で予約をしてから相談をするという形式をとっています。他の予約が入っていない時には、予約なしで相談にのってもらえることもあります。相談内容で一番多いのは、「漠然とした不安」と言います。不安を抱えている患者さんが相談に訪れた際は「ただただ、患者さんの話を聞くことにしています」と東谷さん。

がん患者さんは自分の治療や生活でかかえている不安などについて話す場が少なく、担当の医師や看護師も忙しそうで、質問することを躊躇してしまいます。同医療センターのがん相談は予約制であり、1時間程度ゆっくりと話ができることが特徴です。

「初めはなにに困っているのか、なにが心配なのかさえわかっていない患者さんも、話していく中で気持ちが整理されて、すっきりとした顔をして帰っていかれる方も少なくありません」とソーシャルワーカーの若杉美千子さんは話しています。

同医療センターでは、今後は就労支援にも力を入れていく方針です。「病院で就労の相談ができることを知っている方は少ないです。実際に当院でもそういった相談を受けることはほとんどありません。就労支援が必要なケースでは社会保険労務士が対応できる体制を整えています。気軽に相談してください」と東谷さんはアドバイスしています。

取材協力
横浜市立大学附属市民総合医療センター がん相談支援センター