がんとお金のこと~民間生命保険

公開日:2011年04月01日

目次

リビングニーズ特約を利用しよう

リビングニーズ特約を活用して闘病資金にする

リビングニーズ特約とは、生命保険会社が行っている特約の一つで、医師から余命宣告(6ヵ月以内)を受けた時に経済的な問題を解決し十分な治療を受けられるよう、死亡保険金の一部を生前に受け取ることができるものです。生命保険などに加入していて、さらにリビングニーズ特約を付加していることが支払条件になってきます。リビングニーズ特約は無料で特約を付加できるので、加入されている方も多いと思います。

まず、リビングニーズ特約による支払いを受けるためには、余命6カ月の告知を受けた方で、医師の診断書が必要となります。この点がリビングニーズ特約にとって、最も重要になりますので、ご自身でよく考える必要があるでしょう。支払金額ですが、ほとんどの生命保険会社での支払限度額は3000万円となっており、3000万円に満たない場合は加入保険金額の限度内が支払額となります。生前に保険金を受け取ることによって、そのお金を高度医療などの治療費としても使用できるでしょう。また現在の治療を継続する場合にも、経済的理由により中止しなくて済むようになります。治療がうまくいき6ヵ月を超えた場合でも、返金要求はされません。 注意点として、リビングニーズ特約で支払われた金額は非課税となりますが、保険対象者の方が亡くなり、受け取った給付金が残っていた場合は相続財産として処理をされるため、相続税として課税されます。受けとる金額の設定も考える必要があるでしょう。

また、リビングニーズ特約には指定代理人請求という制度があります。予め代理人を指定しておけば、代理人が保険金を受け取ることができます。がんの非告知の場合や本人の意思確認ができなくなった場合に適用されますが、保険会社によっては条件が異なってくるので確認が必要です。指定代理人請求を行い本人へ告知しない場合は、本人が保険会社に支払い状況を確認したり、保険証券の裏書で支払いの事実が記載されていたり、毎月の保険料が変わったりして、気づいてしまうこともあるようです。リビングニーズ特約における指定代理人請求は慎重に考える必要があります。

余命告知についてよく考える

リビングニーズ特約による支払をうけるためには余命告知を受けて、診断書を書いてもらう必要があります。しかし、この余命告知が一番の問題となりそうです。余命告知を受けることによって、残りの時間がある程度分かり、人生に整理がつけられるという考え方もあります。残りの生き方を有意義に過ごせると捉える考え方です。そのように告知を前向きに考えられる方にとっては、リビングニーズ特約が有効に使えるでしょう。また一方では、希望を失ったり、落ち込んでしまったりすると症状がでる場合もあります。まず、ご自身がどうしたいのか、ご家族とともに考えておくといいでしょう。

医師にじっくり相談。希望を伝えよう

リビングニーズ特約における保険金支払いは、まずは加入している保険会社の制度の内容をよく理解し、保険会社の担当者によく確認をとりましょう。最終的には、告知を受けるだけでなく、保険会社の支払判断の中でも「余命6ヵ月以内」」という「医師の診断書」が重要になってきます。

医師はそれぞれに病理や治療方針に対する見解を持っています。事例などから客観的に余命を判断できる場合は診断書を書いてもらえるでしょう。しかし医師は患者を治していくのが仕事ですので、余命判断をするのをあまり良く思わない方もいるかもしれません。
もしご自身が余命告知を受け、リビングニーズ特約を利用したいと思われる場合、よく主治医にご自身の希望を相談してみることが大切です。

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