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知っておきたい治療費のこと~高額療養費制度
目次
がん治療を受けるなら高額療養費制度を知っておきましょう
高額療養費制度は、1973年に改正された健康保険法により規定されています。抗がん剤などの高額な薬剤費や疾病・負傷による入院に係わる費用のために、一部負担金等の医療費の自己負担額が高額となる場合があります。患者さんの一部負担金等の負担を少なくするため、健康保険(社会保険)では1か月の一部負担金等の額が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた部分が保険者より患者さんに戻ってくる制度があります。これを高額療養費制度と言います。高額療養費制度では自己負担限度額は、年齢、所得により異なります。
保険による医療費のみ対象
高額療養費は保険による医療費を対象としています。厚生労働省が承認している抗がん剤を使用する化学療法は健康保険の対象となり、1ヶ月間に病院に支払う医療費が一定額を超えた場合には、高額療養費制度が適用されます。(未承認の抗がん剤を個人輸入などによって使用する場合は、健康保険の対象となっていた部分も自由診療扱いとなり、全額が患者負担となり、高額療養費の対象から外れます。)
評価療養(先進医療・医薬品や医療機器の治験に係る診療・適応外の医薬品や医療機器の使用など)または選定療養(差額ベッド代・予約診療・診療時間外など)に係る自己負担部分や入院時食事療養費に係る食事療養標準負担額、入院時生活療養費に係る生活療養標準負担額は、高額療養費の支給対象にはなりません。また、訪問看護療養費や家族訪問看護療養費に係るその他の利用料(交通費など)も高額療養費の支給対象にはなりませんので制度を利用する際にはよく理解しておきましょう。
高額療養費の算定分類
高額療養費制度では、自己負担限度額が年齢、所得により異なり、その計算は暦月(ある月の1日から末日まで)ごとに計算します。自己負担限度額の計算をするためには、まず患者さんの年齢を見ます。70歳未満か、70歳以上75歳未満か、75歳以上か年齢により異なります。
次に所得ですが、所得が多いか、少ないかで、上位所得者、現役並み所得者、一般所得者、市(区)町村民税非課税の世帯に属する方、市(区)町村民税非課税者Ⅱ・Ⅰに分かれます。
70歳未満の入院治療される方は、限度額適用認定証を申請して、支払負担を軽減できます。
入院される方については、事前に加入する医療保険から限度額適用認定証を発行してもらうことにより、病院などでの支払金額を所得区分に合わせた上限額にとどめることができます。加入している医療保険者から、医療機関や薬局に直接高額療養費が支払われるため、患者さんは、一度に用意する費用が少なくて済みます。また、いままでのように加入する医療保険に対して、事後に高額療養費の支給申請をする手間も省けます。70歳以上の方は、限度額適用認定証がなくても、自動的に支払金額が上限額までにとどめられます。(ただし、低所得者の区分に該当する方は、限度額適用認定証の発行が必要になります。)
限度額適用認定証の交付申請先は、加入している医療保険者によって異なります。国民健康保険は各市町村役場が窓口です。組合管掌健康保険については各健康保険組合にお尋ねください。全国健康保険協会については各都道府県支部の窓口にお尋ねください。
※その他に支払金額を自己負担限度額とできる高額療養費受領委任払制度や、高額療養費が支給されるまでの間に無利子にて該当金額を貸付する高額療養費貸付制度がありますので、各保険者に問い合わせてください。ただし、これらの制度は、すべての保険者や医療機関で対応しているものではありません。