【QOL(生活の質)】セカンドオピニオンについて知っておきたいこと

公開日:2017年4月28日

セカンドオピニオンを聞いて失敗した、あるいは後悔した、というケースが少なからずあります。セカンドオピニオンを上手に活用するために知っておきたいことを、がん治療の専門医に聞きました。

目的は「納得のいく選択をするために」

今回お話をうかがったのは、呼吸器外科医として長く肺がんの治療に携わってきた吉田純司医師です。吉田医師は国立がんセンター東病院を経て、現在は東京ミッドタウンクリニック呼吸器科で患者さんの治療にあたっています。

吉田医師にセカンドオピニオンの目的を尋ねると「患者さんが納得のいく選択をするためです」と明快な答えが返ってきました。

患者さんが通院している病院の主治医が示した治療方針をファーストオピニオンとして、その説明に納得して治療方針に同意する場合は、セカンドオピニオンは不要です。「納得できないときに、ほかの医師の意見を聞いてみる。これがセカンドオピニオンを聞くということです」と吉田医師は説明します。

選択のために知っておきたいこと

納得のいく治療を受けたい。この思いはがん患者さんとその家族なら、誰もが願っていることでしょう。ところがその思いが強すぎるあまり、医師が提示する見解や治療方針について「“絶対に”治りますか?」「“本当に”治るのですね!」などと“完璧”を求めることが少なくありません。しかし吉田医師は「“絶対に”とか“本当に”というのはあり得ません」と言います。

なぜなら、医師が言えるのは、「こういう状態の場合には何%がAになる」という医学的知見に基づいた“可能性”です。ですから、目の前にいる患者さんが本当にAになるかどうかは確定できません。

希望的な話を聞きたいという患者さん側と、慎重に正確に伝えたいという医師側の違いに気づかないため、セカンドオピニオンを受けて気持ちが落ち込んだとか、後悔したというように「失敗」と受け止める患者さんが少なくありません。

では、どのような考え方で臨めば、セカンドオピニオンを納得できる治療の選択にいかせるのでしょうか。吉田医師は「患者さん自身が、自分なりの基準を持つこと。言い換えると、がんと共に生きる際の優先順位を決めておくことです」と助言します。

例えば、手術か放射線治療かという選択肢がある場合、医師側はそれぞれの長所と短所を話し、選択決定を患者さん側に求めます。

「がん種及び進行度によりますが、手術の場合は治療成績は良いけれど、身体の負担は重くなる。放射線治療の場合は治療成績は手術より低下するけれど、低侵襲なので身体への負担は軽い。どちらを選ぶのか。これは、言い換えると、治療優先なのかQOL(生活の質)優先なのか、という選択です」と吉田医師は説明します。

セカンドオピニオンを生かすために

自分の価値基準が明確になっている人ばかりではないでしょう。ファーストオピニオン、そしてセカンドオピニオンを聞いて、自分の考えを整理してやっと結論を出すという例が現実には多いようです。

考えを整理するには、医師の話をよく聞いて、理解することが必要です。吉田医師が困った経験として話してくれたのが「よく理解できなかったので、家族に同じ話をしてほしい」という事例です。

セカンドオピニオンは家族の同席が可能です。また、患者さん本人が来院できない場合には、委任状があれば家族が代理でセカンドオピニオンを聞くこともできます。「セカンドオピニオンは健康保険が適用されないため、全額自費診療です。時間と費用を無駄にしないためにも、患者さん側も聞く準備を整えておきましょう」と吉田医師は助言しています。

なお、セカンドオピニオンでは、治療や検査等は行わず、患者さんが持参する資料をもとに医師が意見を述べます。したがってセカンドオピニオンを聞くためには次の2点が必須です。

(1) 紹介状(セカンドオピニオン用診療情報提供書)
患者さんの病状について、主治医に詳しく書いてもらいましょう。
(2) ファーストオピニオンの根拠となっている検査結果・画像・データ
患者さんが受けた検査結果やレントゲン、CT、MRIなどの写真・画像などのデータです。

セカンドオピニオンを聞くことを主治医に言い出しにくいという患者さんは少なくありません。実際、ごく稀に、セカンドオピニオンを望む患者さんに不快感を示す医師がいます。そういう場合は転院して心ある医師の元で治療を受けたほうがいいでしょう。熟練した医師であれば患者さんがセカンドオピニオンを聞くことに協力します。遠慮せずに、協力を依頼しましょう。

セカンドオピニオンを聞いた後で

吉田医師の経験によると、セカンドオピニオンがファーストオピニオンと同じ見解の場合、患者さんは納得して主治医の元に戻ります。

しかし、セカンドオピニオンで別の治療方針があると知った場合、セカンドオピニオンを聞いた病院での治療を希望する患者さんが多いといいます。そういう場合には「転院」になります。

ここでしばしば患者さん側に誤解が生じがちなのですが、セカンドオピニオンは転院目的ではありません。セカンドオピニオンを聞いた後の、患者さんの選択・決定の一つです。また、治療はセカンドオピニオンの病院で行いますが、治療後の経過観察をファーストオピニオンの病院で行う場合もあります。セカンドオピニオンを、「納得のいく治療の選択」に生かしてください。

セカンドオピニオンの基本情報

最後にセカンドオピニオンを聞くために知っておきたい基本情報をご紹介します。

<セカンドオピニオンを聞くことができる医療機関>
がん診療連携拠点病院を中心に、がん医療を行っている多くの病院でセカンドオピニオンを聞くことができます。また、セカンドオピニオン専門のクリニックもあります。どこで聞いたらいいのかわからない場合には、がん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターに問い合わせるといいでしょう。
<セカンドオピニオンに必要な手続き>
セカンドオピニオンを聞く医療機関が決まったら、その窓口に連絡して、必要な手続きを確認しましょう。確認しておくべき項目は、「受診方法」「予約」「費用」「診察時間」「必要な書類や資料」などです。
<セカンドオピニオンの準備>
セカンドオピニオンは自費診療なので、その費用や時間は病院によって異なります。費用と時間を有効活用するためには、伝えたいこと、聞きたいことを整理し、質問事項をメモしておくといいでしょう。

※掲載している情報は、記事公開時点(2017年4月28日)のものです。