【医療情勢】ソーシャルメディアの使い方

公開日:2017年5月31日

近年、Twitter、Facebook、Instagramなどのソーシャルメディアを使っている人は増えています。ただ、健康情報を得る際にどんなことに注意すればいいのか、どんな活用方法があるかはあまり知られていません。そこで今回、ヘルスリテラシーの専門家である、聖路加大学大学院看護学研究科看護情報学分野の中山和弘教授にソーシャルメディアの使い方について教えてもらいました。

そもそも、ソーシャルメディアとはどんなものなのでしょうか

ソーシャルメディアは誰でも参加ができ、そこでつながりができていくメディアのことです。Twitter、Facebook、Instagramなどがソーシャルメディアといえば、イメージしやすいでしょう。しかし、ソーシャルメディアはこれらだけでなく、掲示板やブログ、Q&AサイトなどからYouTubeも含まれます。日本で主に利用されているものを表にまとめたのでご覧ください。ひとつくらいは利用したことがあるソーシャルメディアがあるのではないでしょうか。

ソーシャルメディアの種類
ブログ アメーバブログ、ココログ、Blogger
SNS SNS Facebook、Twitter、Google+、Tumblr、mixi
患者向けSNS 患者SNS、PatientsLikeMe
専門職向けSNS LinkedIn、ResearchGate、Academia
医師向けSNS メドピア、地域の医師会等のSNS、Sermo
看護師向けSNS ナース専科、allnurses
動画・画像共有 YouTube、ニコニコ動画、Instagram、Pinterest、Vine
メッセージングアプリ LINE、WhatsApp、Facebook Messenger
情報共有サイト Wikipedia、SlideShare、クックパッド
口コミサイト 価格コム、食べログ
病院口コミサイト Qlife、病院の通信簿
Q&Aサイト Yahoo!知恵袋、OKWave(教えて!goo)
医師によるQ&Aサイト アスクドクターズ
掲示板、フォーラム 看護ネットよろず相談所、2ちゃんねる、textream

健康を決める力(http://www.healthliteracy.jp/internet/socialmedia.html)より引用

ソーシャルメディアにはどんなメリットがありますか

家族や友人、主治医などの日常的に接している人以外からのアドバイスを受けられたり、自分が知らない情報を得られることがメリットです。

例えば、がんの診断を受けた際に主治医から治療法が提示されますが、必ずしもすべての選択肢が提示されるわけではありません。その主治医の専門とする領域が外科であれば、手術の説明を重点的にされ、放射線や化学療法についての説明が不十分になる可能性もあります。そんな時にソーシャルメディアを用いることで、自分が知らなかった第三の選択肢を見つけることができます。

ただ、その情報が正しいかどうかの判断をしなければいけません。情報サイトの中には、科学的根拠のない情報が記載されていたり、ギャランティーが発生し特定の商品や治療法を勧めているものもあるので注意しましょう。健康食品などの記載があるものに関しては、商業目的である可能性を考えてみてもいいかもしれません。

ソーシャルメディアをうまく活用するためにはどうすればいいでしょうか

ソーシャルメディアの情報がなんのために発信されているか考えてみましょう。ブログによる情報発信など、ソーシャルメディアの情報発信は基本的には自分の体験をシェアして役立ててほしいという思いから行っていることが多いです。ただ、中にはストレス発散で書いている人もいるので、そういったものは相手にしないようにしましょう。

また、インターネットの情報を受け取るだけで判断するのは危険です。ぜひ、積極的にアウトプットしてみてください。例えば、自分から発信できるタイプのソーシャルメディアを使い、「こんな治療法を見つけて試してみようと思っています」と書き込めば、第三者がそれに対して意見をくれるでしょう。

「それは聞いたことがないし、怪しいと思います」と言われれば、少し冷静な判断ができるのではないでしょうか。こういった顔が見えない第三者からの意見に不安を覚える人もいると思いますが、ソーシャルメディアは基本的に助け合いの精神で成り立っているので、必要以上に怖がる必要はありません。

また、治療に関してだけでなく、医師との関係性についても話してみるのもいいかもしれません。例えば、自分としては不条理な扱いを受けたと感じても、日本人の気質として「自分さえ我慢してればいい」と思ってしまいがちです。それを第三者に話すことで、それがほんとにおかしいことなのかどうか判断してもらうことができます。

患者会ではソーシャルメディアは活用されていますか

現在では、ソーシャルメディアを活用している患者会も多くあります。患者会の機能として、情報のサポート、情緒のサポート、孤独の緩和、状況判断の手助け、今後の自分をイメージできるようになる、などがあります。また、情報を提供した人も誰かを助けることによって癒される側面があります。

対面の患者会と、インターネットを通した患者会で機能に違いがあるか調べた研究があります。研究の結果、いずれの機能に関しても対面と、インターネットで差がないことがわかりました。対面にはデメリットもあります。

例えば、対人関係が苦手な人はそもそも患者会に参加しづらいですし、一度入ると抜けづらいです。その点、インターネットを用いた場合、匿名でのやり取りも可能で、合わなければ別の患者会に行くこともできます。

また、対面の患者会に行く前に患者会の雰囲気を確かめることも可能です。インターネットを用いると、レスポンスが速いというメリットもあります。実際の患者会は、週に1回や、月に1回という一定の期間をあけて開催されますが、インターネット上であれば、気軽に質問して、すぐに返事が返ってきます。自宅にいながらコミュニティに参加できるので、自分の状況に合わせて柔軟に使用していくのがいいでしょう。

今後、ソーシャルメディアはどのように使われていくでしょうか

患者さん個人としては、助け合いのツールとして、積極的に使っていくのがいいと思います。なにかしらのソーシャルメディアでアカウントを持っていれば、情報を得ることもできますし、書きたいことができたら書いてみるのがいいと思います。そうやって使っていく中で自分にあった使い方ができるようになってきます。

海外では、医師が患者会を紹介するなど、患者会の活動が盛んです。患者会の側も、話を聞きたい医療者をゲストに呼ぶなど、患者会と医療者の連携が密にとれています。また、医療者と患者さんのコミュニケーションツールとして、メールやソーシャルメディアが当たり前のように使われています。

そのため、医療者向けにソーシャルメディアの使い方を示したガイドラインも発行されています。しかし、日本では医療者がソーシャルメディアを活用している例は少なく、ガイドラインも存在しません。とはいえ、若い世代の患者さんはほぼ100%ソーシャルメディアを活用しているので、医療者側も信頼できる情報を発信するトレーニングをして、患者さんが科学的根拠のない情報に振り回されないようにしていく必要があると思います。

災害時の情報の取得や発信について教えてください

近年、いつ災害が起こってもおかしくないといわれている中、緊急時の情報の取得は重要な課題です。医療情報一般にもいえることですが、特に災害時はデマが流れます。熊本地震の際にもライオンが逃げ出したというデマが流れました。発信するほうも善意からその情報を拡散していることが多いのですが、匿名の情報発信のため、責任感が希薄になっていることがあります。

「拡散希望」という情報が回ってきた際にも、それが事実か一考することが大事です。また、情報を発信する際にも裏付けの根拠をリンクで貼るなど、信頼できる情報を発信するようにしましょう。確信が持てない情報を何も考えずに流していると、情報があふれてしまい、本当に必要な情報が埋もれてしまう恐れがあります。