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【QOL(生活の質)】心と体をいやす「睡眠」のコツ
目次
厳しい残暑を終え、ようやく迎えた秋ですが、夏の疲れはたまっていないでしょうか。今回は質の良い睡眠についてとりあげます。質の良い睡眠で心身の疲労回復をはかりましょう。
免疫力を向上させる「質の良い睡眠」とは
疲労回復など心身の養生には睡眠が欠かせません。ぐっすり眠っている間に免疫細胞の働きが活発になり、免疫力を向上させる効果があるからです。睡眠中には骨髄で白血球、赤血球、リンパ液などが生産されるので、抵抗力や免疫力が向上します。
また、新陳代謝を促すホルモンの1つである成長ホルモンには、疲れたり傷ついたりした体の組織を回復・修復・再生する働きがありますが、この成長ホルモンも睡眠中に脳下垂体から分泌されるのです。
このようなことから睡眠は天然の治療薬ともいえます。しかし、「眠れない」「眠りが浅い」「十分な睡眠時間を確保しているのになぜか疲労感が消えない」という悩みを訴えるがん患者さんが少なくありません。実は、「質の良い睡眠」というのは、睡眠時間の長さとは関係ありません。「よく眠れた!」「疲れが取れた」と自身が満足感を得られる睡眠がとれたかどうかが大切なのです。
では、どうしたら質の良い睡眠に導くことができるのでしょうか。ここでは日常生活ですぐに実践できるちょっとしたコツや方法をご紹介します。
心身をリラックスさせて心地よい眠りに導くセルフケア
良質な睡眠を得るには自律神経を熟睡しやすいような状態に導くことが大切です。つまり、心身を活動的にする交感神経よりも心身をリラックスさせる副交感神経が優位になるようにしなければなりません。
ストレスや緊張から心身を解放するには、ぬるめのお風呂での入浴や足浴、気分転換程度に気楽に楽しむ軽い読書、好きな音楽やリラックス効果のある音楽など、日常生活の中で手軽にできるリラックス方法を試してみてください。リラックス効果のあるオイル(エッセンシャルオイル)を用いたアロマテラピーもいいでしょう。
横になってもなかなか寝つけないという場合には、ホットミルクを飲むのも1つの方法です。ミルクに含まれるタンパク質のトリプトファンには眠りを促す作用があるからです。また、適度に体を動かすことは心地よい疲労となり、熟睡につながります。昼間、散歩や軽いストレッチ運動などをして、無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。
もう1つ、簡単にできて気持ちよく眠れる方法としてお勧めしたいのが、今日の出来事のうち「よかった」「楽しかった」と感じたことを思い出し、いくつか心に思い浮かべることです。
例えば「昨日に比べて体調がよかった」「食事がおいしく食べられた」「足浴が気持ちよかった」など、ささいなことでもいいのです。「よかった」とか「楽しかった」と感じたことを思い浮かべていると、気持ちが和み、自然に心地よい眠りが訪れます。
ここに注意! 質の良い睡眠を妨げる生活習慣
興奮した状態では横になってもスムーズに眠れません。心身をリラックスさせ、質の良い睡眠を妨げる生活習慣は改めましょう。
携帯電話やスマートフォンは日常生活に欠かせないという人も多いでしょう。しかし、テレビやパソコンをはじめ、スマートフォンやタブレットの光を寝る前に浴びると、睡眠を促すメラトニンの分泌量が抑制されます。そのため、眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなったりしてしまうのです。したがって就寝前にはスマートフォンなどの明るい画面を見るのを控えましょう。
また、コーヒーやお茶などに含まれるカフェインには覚醒作用があるので眠りを妨げます。夕食後はカフェインの摂取を控えましょう。就寝前の飲み物としては、ホットミルクや麦茶、ハーブティーなど、温かくてカフェインを含まない飲み物が適しています。
就寝直前には42℃以上の熱いお湯に入るのも避けましょう。体温が上昇して交感神経が刺激され、眠りに入るのを妨げてしまうからです。床につく1時間くらい前に38〜40℃くらいの「ぬるめ」のお湯にゆっくり浸かるようにするといいでしょう。
季節に応じて環境を整える工夫も必要
暑い夏には、窓にすだれをかけておくなど、寝室に熱がこもらないようにします。熱がこもっていたら、寝る前に換気して熱気を追い出すようにします。また、汗や湿気を吸収しやすい夏用寝具を用い、冷房を使う場合は27℃を目安にして熟睡してからエアコンの電源が切れるようにタイマーを設定するなどの工夫が必要です。
秋から冬へと気温が低くなる季節には、寝室内を適度に暖めておくことと寝具の保温性に配慮しましょう。「冷え」を感じる場合には、就寝前に布団乾燥機を10分くらいかけておくと布団の湿気が解消され、ほんのりと暖かくなります。電気毛布を使う場合も、就寝前に暖めておいて、就寝時にスイッチを切るようにします。首や肩が寒く感じる場合には、柔らかいバスタオルや軽い寝具で首や肩をおおうのもいいでしょう。
どうしても眠れない時には医師の診断を仰いで導眠剤を
不眠のために心身のつらさが続く時などは、必要に応じて抗不安薬や睡眠導入剤(睡眠薬)を服用するのも1つの方法です。「くせになるのでは」と服用をためらうかもしれません。
しかし、医師の指示を守って服用すれば習慣になる心配はありません。どうしても眠れない時には医師の診断を仰ぎ、睡眠導入剤を上手に使って眠れないというつらさを少しでも和らげましょう。
睡眠導入剤を使用するときは、服用量や服用時間について医師の指示を守ることが大切です。自分の判断で量を減らしたり、増やしたりすると思わぬ副作用が生じることがあります。また、自分の症状に適した処方とするには、「よく眠れるようになった」あるいは「まだ寝つきが悪い」など服用後の様子を医師に伝えることも重要です。
なお、薬について心配なことがあるときは医師や看護師、薬剤師に相談してみましょう。
闘病生活にまつわる悩みが眠りを妨げている場合には
このほかに、闘病に関わる不安や悩みなどが原因で眠れない場合もあります。そういう時には一人で不安や悩みを抱え込まないようにしましょう。医師や看護師などの医療関係者、あるいは家族や友人の支援を受けることで心の負担が軽くなる場合も少なくありません。
また、同じような不安や悩みを抱えるがん患者さん同士が支え合うピア・サポートが力になることもあります。心の軽さが心地良い睡眠につながることも忘れないでください。
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タグ2016年10月
※掲載している情報は、記事公開時点のものです。