【医療情勢 I 】患者会取材 支えあう会「α 」(アルファ)

公開日:2014年10月31日

支えあう会α_スタッフ
(左:スタッフの土田さん、右:理事長の五十嵐さん)

 今回は千葉を中心に活動する患者会NPO法人支えあう会「α」(アルファ)を取材しました。「α」は、がんの種類を問わずに、様々な患者さんが参加できます。また、運営スタッフに医療者の方がいて、患者さんだけで集まる会とは違った情報提供がなされていました。「α」の活動に関して、理事長の五十嵐さん、スタッフの土田さんにお話しを伺いました。

 

患者が気持ちを語れる場所を定例会と「α」サロン

 支えあう会「α」は 1994年に千葉大学の看護師だった土橋律子さんが、自身のがん体験から患者会の必要性を感じて立ち上げました。おもな活動場所は千葉大学西千葉キャンパス人文社会科学研究棟・福祉環境交流センターを使用しています。基本となる活動としては、毎月第1日曜日に行っている定例会と、月2回行っている「α」サロン、気功教室、「α」通信の発行などです。

定例会では患者さん同士の「分かちあい」を中心に、患者さん同士で語り合う場所を提供することを目的としています。がんについて語れる場所は患者さんにとってとても意義のある場所です。たとえ家族であってもがん体験者でないと分かり合えないことがあるのです。また、家族に心配をかけたくないから体験者同士で話をしたいと言う方もいらっしゃいます。屋外での活動もしており、4月は花見、秋には旅行、1月は新年会など、季節ごとに行事を取り入れています。

「α」サロンでは、「同じ部位・立場の人とお話したい」という声を受けて、部位ごと・立場ごとの分かちあいの場を提供しています。同じ部位ならではの生活上の工夫、治療や副作用のことなど、細やかな情報交換をして頂いております。時間は午前10:00~12:00で、同日の午後13:00~15:00は部位や立場に関わらない情報交換をする場所としています。ご家族や一般の方もご参加頂けます。月2回、第1水曜日・第3水曜日に開催しております。

気功教室は、第2・第4土曜日に行っています。患者会ですので、必ずしも元気になる人ばかりではありません。そんなとき に、自分でできることがある、というのは心強いことです。最後は体力勝負ですので「養生」ということが大きなウェイトを占めてきます。気功の後、お茶会でも分かち合いを行っています。

「α」通信は、年に4回ほど発行している会報誌です。会員以外の方にも希望する方には有料で配布しています。「α」が主催する勉強会(連続講座)や会員の体験発表などを掲載しています。事情で行事に参加できない方、遠方の方などで、毎回は会に参加できない方などは会報誌でコニュニケーションをしています。

支えあう会「α」スタッフ02
(支えあう会「α」のスタッフ <写真は会員のプロのカメラマンによる撮影会「メモリアル・フォト」での1枚>)

 

顔がみえる距離で行う30人規模の勉強会

 「α」では様々な疾患や分野について専門家を講師として招く勉強会(連続講座)を主催しています。場所は千葉大学西千葉キャンパスで行っています。参加者全員の顔がみえて、マイクが無くても話ができる形態を目指しているので参加定員は30名にしています。参加型なので、質問もしやすく、疑問が解消しやすいと思います。

ご自身の病気とは違う疾患であっても、がんに向き合うという立場は同じだったりします。治療のこと、家族のこと、自分の人生のことを他の方がどのように考えているのかを、共に考える場としても機能しています。

2014年度の連続講座では「がんについて学ぼう!話そう!」と題して年4回開催します。7月には泌尿器のドクター、10月には訪問看護ステーションの看護師の方に来て頂いて、泌尿器の手術や在宅ケアの話をしてもらいました。今後の予定は12月7日に帝京大学医学部付属病院緩和ケア内科の有賀悦子さんに、「緩和ケアの目指すところと社会の理解」、2月1日には千葉県がんセンター整形外科の岩田慎太郎さんに「骨・筋肉のがんと言われたら ~肉腫と骨転移がんについて~」といったテーマで話して頂きます。

「α」では医療者を先生と呼ばずに、「さん」で呼ぶことにしています。医療者と患者という立場ができると、お互いに畏まってしまいます。医療者も先生と呼ばれることを望まずに、ざっくばらんに患者さんの気持ちを知りたいと思っている方は多いのです。

支えあう会「α」スタッフ03

 

がん相談支援センターの利用を調査、より良い情報提供を

 平成18年に成立したがん対策基本法では、がん患者さんや家族の方が持っている悩みや不安を解消するため、がん診療連携拠点病院の中に「がん相談支援センター」を作り相談員を配置して、情報提供やがん特有の悩みについての相談を行うことが取り決められました。

法律が施行された後、「α」が主催する患者さんが集うサロンで話し合われる内容や電話相談の内容を聞いていると、がん相談支援センターの開設後でも、「どこに相談したら良いのか分からない」といった声が依然として多く、せっかくの施策が患者さんに届いていないのではないかという疑問を持ちました。

そこで「α」は、がん対策基本法が施行されてから丸3年たった平成22年、がん相談支援センターがどれだけ機能しているか訪問調査をすることにしました。相談員の方にお話しを伺ったのですが、アポイントを取ること自体が難航しました。当時は、まだまだ患者会をクレーマーととらえる傾向があったと思います。この時は、支援センターで患者サロンも開設しているところは少なく、「がん相談」といった内容よりも、地域のクリニックや介護施設を紹介するような医療連携の枠を出ないものがほとんどでした。

その訪問内容をまとめた「α」通信54号を発行してからは、病院側にも意図が伝わり、1年半後の再調査の時には、協力が得やすくなりました。2回目の調査の時には、患者サロンの取り組みは進んでいて、全体的に相談員の皆さんの努力が感じられたのですが、相談内容としては告知されたときのショックに対する心のケア、再発転移の時の治療法の選択、医師の説明が理解できない時のフォロー等といった「がん相談」と呼べるようなものではありませんでした。

医療者が提供している相談支援と、患者が望む相談支援が乖離しているのではないかと感じ、患者さんや家族が相談支援センターをどのようにとらえ、どのように利用しているのか、またはしていないのか、さらなる調査をしてみようということになりました。その結果をまとめたのが「がん患者・家族の視点による相談支援の現状と課題-がん診療連携拠点病院 相談支援センターの利用に関する調査-」です。

相談支援センターの利用に関する調査結果から、がん相談支援センターに関する認知度や利用状況に大きな差があることが分かりました。

やはり相談支援センターの存在や役割が患者さんたちに知られていなかったのです。ポスターなどによる啓発も必要だとは思うのですが、外来や入院中における医療者との会話の中に、相談支援センターの話題がでてくれば、もっと知って頂ける機会が増えると思います。まずは医療者が相談支援センターの役割をしっかりと認識して頂くことからつながっていくと思います。

地域によってはがん相談を扱う機会が少ない拠点病院もあります。そのような場合には、患者会に足を運んで頂いて、患者・家族の方たちが直接に語る現場を見て頂ければ、相談員の方にとっても、よい機会になると思っております。

がん患者さんとそのご家族が抱えている問題は様々です。相談支援センターの役割をしっかりと認識し、活用することも選択肢のひとつですし、近くの患者会の活動が自分にあっていると思えば、参加することも選択肢の一つだと思います。そして、ときには患者会と相談支援センターが協力をして患者さんの問題を解決していくことがより良い活動に繋がっていくと思っています。

■NPO法人 支えあう会「α」
ウェブサイト:http://www.alpha-chiba.com/
活動内容
 ・定例会(連続講座、分かち合いや情報交換、季節行事等)(第1日曜)
 ・がん相談とサロン (第1・3水曜)
 ・気功教室(第2・4土曜)
 ・医療関係者の講演会等へ講師派遣
 ・会員相互の親睦会
 ・会報「α」通信発行(年4回)