がんと仕事 両立させるには

公開日:2011年03月31日

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自分がどのような仕事ができるか知りましょう。

がんの症状や治療方針を正確に理解・把握することは、自分がどのような仕事をすることができるのかを把握する上でもとても重要です。医師の指導のもとCTやMRIなどの検査を行い、しっかりとがんの大きさ、転移の状況、ステージを調べましょう。ステージが進行している場合は入院が必要となる場合が多く、会社を長期間休まなくてはいけない場合もあります。手術を行う場合などは、体調などの変化によっては、術前と同じ業務ができないかもしれません。無理をして働くのではなく、主治医の先生とよく相談し、治療方針が決定した後、どのような業務ならできるのかをしっかりと把握して、周りに理解してもらうことが大切です。がん患者の就労に関する企業側の意識はまだ高いとは言えません。しかしながら、がん治療は高額になることもあり、仕事を辞めて治療に専念するというわけにはいかない方も多くいらっしゃると思います。労働者としての自分の権利をしっかりと把握することも大切です。把握することにより、不当な解雇や異動を回避できる可能性もあります。

企業の裁量によって判断されているのが現状 理解してもらうことが大切

企業において、がん患者の就労はまだまだ理解されていないのが現状です。がんは、一部の職業を除いて直接の業務からは起因しないため、企業側は私傷病と解釈して対応していると思われます。企業の従業員に対する健康配慮義務や管理は、労働災害防止や職場の安全衛生を目的として定められているものが多いのです。そのような事情から、がんをはじめとする私傷病に分類されてしまうものへの法的な対応基準はなく、企業の裁量によって対応されているのが現状です。企業の規模によっては産業医がいますが、企業側の目的が労働災害や安全衛生というという観点なので、私病と分類されてしまう事柄に関しては相談しにくい事情があります。

しかし、現在はがん経験者の数が増え続けている社会背景があります。また治療が進歩して生存期間が延びていることもありますし、副作用が軽減されて薬物療法などが外来で対応可能になったりしています。がんの治療中であっても仕事を継続できる方も多くいらっしゃると思います。業務への影響がないことや、少しの配慮をしてもらうだけで就労が可能ということを企業が理解することが大切だと思われます。企業にはCSR(企業の社会的責任)※があります。きちんと事実を伝えて、正確に理解をしてもらうことが重要です。

※CSRとは企業の社会的責任のことで、利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもつことです。(環境、人権、労働慣行、公正な商習慣、コミュニティ参画、社会開発、消費者課題など)

治療方針が決まったら、会社に相談しましょう

まずは主治医との相談によって自分の状況や治療方針からどのような形で仕事を続けるかを決めることが大切です。自分の意思をしっかりと固めてから企業側に相談したほうが良いでしょう。企業は労働者を不当解雇ができないように労働基準法によって定められております。また従業員の健康状態に関して配慮をしなければなりません。診断書や治療計画などを主治医に書いてもらい上司や人事部に相談することになります。その際、労働時間の短縮をせずに、そのまま働き続けるのか、日数を減らして体をいたわりながら長く働きたいのかなど、具体的にどのような働き方にするのかを明確にして伝えることが大切です。

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