2018年10月27日(土)14:00~ フクラシア八重洲(東京)にて開催 あきらめないがんセミナー

【トピックス】プレシジョン・メディスン 実用化に向けさらに一歩前進

最先端がん治療紹介の編集方針について

「再発転移がん治療情報」では、がん治療に精通した医師の方へのインタビューや学会、患者会ほか独自の取材を通して、新しいがん治療情報を随時ご提供しております。手術、抗がん剤、放射線治療と言った標準治療の中でも最新の治療法や、免疫療法や漢方など注目の治療法を取り上げていきます。また、このサイトでは特に進行がんやがんが再発・転移された方に有用と思われる情報を掲載していきたいと考えております。
がん治療に関するニュースや情報サイトは他にもたくさんありますが、再発・転移がんに特化したものは少なく、また、毎日更新される膨大な情報をチェックし、ご自身の治療に役立つものをピックアップしていくことは容易ではありません。
本サイトでは、再発・転移がんの治療を対象としたトピックをどなたにも分かりやすくお伝えし、治療を必要とされる患者様へ新しい選択肢をご提供したり、前向きに治療に取り組むお手伝いが出来るサイト作りを目指しております。

公開日:2017年8月31日

東北大学病院が個別化医療をスタート

東北大学病院は6月5日、がん患者さん一人ひとりに最適な治療を提案するシステム「個別化医療」を推進する取り組みを開始しました。同病院内に設置された個別化医療センターを中心に、がん患者さんのゲノム・オミックス解析や診療情報を活用し、クリニカルシーケンス検査などが実施されます。

ゲノム・オミックス解析とは、がん細胞のゲノム、DNAの遺伝情報を伝達するmRNA、タンパク質、代謝物などさまざまな分子の情報を網羅的・系統的に解析することです。クリニカルシーケンス検査は、DNAなどの塩基配列を解析する装置を使って、がん患者さんのがん関連遺伝子変異を網羅的に解析することによって、その患者さんに最適な抗がん薬を調べることができます。

がんは遺伝子の異常が原因で発生します。これらの遺伝子の異常を標的として、その機能を制御する分子標的治療薬が近年になって開発されるようになりました。分子標的治療薬は、遺伝子異常のあるがんを狙い撃ちして効果を発揮します。

そのため、クリニカルシーケンス検査で一人ひとりの患者さんのがん細胞にどのような異常が生じているかを調べることで、より有効な薬物治療が可能になります。

同センターは、ゲノムコホート研究の基盤をもつ東北メディカル・メガバンク機構などと連携して希少性疾患を中心とした個別化医療の推進を図っていくことが目的です。「将来的には、ゲノム解析を基にした治療の最適化、発症の予防ができるような医療につなげていく」としています。

「図 : 個別化医療センター概要(東北大学のプレスリリースより)」
http://www.hosp.tohoku.ac.jp/press/documents/tohokuuniv-press20170605_shiryo.pdf

全国がんゲノムスクリーニング「SCRUM-Japan」の第二期プロジェクト開始

国立がん研究センターは、産学連携がんゲノムスクリーニングプロジェクト「SCRUM-Japan」の第二期プロジェクトを4月から開始したと8月8日に発表しました。

SCRUM-Japan は2015年2月に開始され、第一期プロジェクトでは製薬企業15社、国内245医療機関が共同研究に参加し、2017年3月に登録(4,800例)が完了。前身のプロジェクトとあわせて150例以上の患者さんが、遺伝子解析の結果に基づいて、分子標的治療薬の医師主導治験や企業治験に参加しました。

複数の分子標的治療薬の臨床応用では、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの遺伝子診断薬と治療薬の国内製造販売承認で大きな成果をあげたといいます。

第二期プロジェクトの主な変更点は、
1. 遺伝子診断パネルの更新
2. 治験への組み入れ目的であることの明確化
3. 遺伝性腫瘍関連遺伝子の偶発的発見が発生した際の患者さんへの情報提供に関する希望の有無を含めたIC文書の改訂と、その後の遺伝相談体制の構築
などです。

第二期プロジェクトには、肺がん2,500例、消化器がん(大腸、胃、食道、肝細胞、胆道、膵、小腸、虫垂、肛門管、消化器原発の神経内分泌腫瘍・癌、消化管間質腫瘍GIST)3,000例、計5,500例の登録が見込まれています。

第二期プロジェクトの実施予定期間は、2017年4月~2019年3月31日で更新の可能性もあるといいます。7月1日までに293の医療機関が参加しています。

[参考プレスリリース]
http://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/press_release_20170808.html
(国立研究開発法人 国立がん研究センターより)
http://www.amed.go.jp/news/release_20170818.html
(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構より)

厚労省 来年度末「遺伝子パネル検査」の保険収載に向け準備

現在、厚生労働省はがん関連遺伝子の一括検査の保険適用に向けて準備を進めています。

日本のがんゲノム医療構築の方向性を示す厚生労働省「がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会」の報告書(6月27日)によると、「がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)」を2017年度中に指定するとしています。

拠点病院は、通常のがん医療を基盤に、次世代シークエンサーによるゲノム解析結果から、一人ひとりの患者さんの治療法を決定し、ゲノム解析関連の臨床研究、遺伝カウンセリングなど、さまざまな役割を担うことになります。

がんゲノム医療の実施に必要な要件は次の8項目です。

  • 1. パネル検査を実施できる体制がある(外部機関との委託を含む)
  • 2. パネル検査結果の医学的解釈可能な専門家集団を有している(一部の診療領域について他機関との連携により対応することを含む)
  • 3. 遺伝性腫瘍等の患者に対して専門的な遺伝カウンセリングが可能である
  • 4. パネル検査等の対象者について一定数以上の症例を有している
  • 5. パネル検査結果や臨床情報等について、セキュリティーが担保された適切な方法で収集・管理することができ、必要な情報については「がんゲノム情報管理センター」に登録する
  • 6. 手術検体等生体試料を新鮮凍結保存可能な体制を有している
  • 7. 先進医療、医師主導治験、国際共同治験も含めた臨床試験・治験等の実施について適切な体制を備えており、一定の実績を有している
  • 8. 医療情報の利活用や治験情報の提供等について患者等にとって分かりやすくアクセスしやすい窓口を有している

同懇談会は「がんゲノム医療実用化に向けた工程表」を作成し、がんなどに関する複数の遺伝子を同時に測定する「遺伝子パネル検査」を活用した先進医療を2018年度前半から実施、同年度末には薬事承認・保険収載などを目指す考えを示しています。

「図 : がんゲノム医療実用化に向けた工程表」(厚生労働省「がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会の開催について」より)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000169237.pdf