【QOL(生活の質)】がん患者さんが悩むホットフラッシュの原因と対処方法

公開日:2015年07月31日
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目次

 夏は汗をかく季節。しかし、がん患者さんの中には、暑くないのに顔や上半身が熱くなり、汗が噴き出たりのぼせたりすることがあります。しかも、この症状は女性ばかりではなく男性にも起こります。その原因と対策をご紹介します。

ホットフラッシュに悩んでいませんか?

 私たちの体には、暑さや発熱で体温が上がると、発汗して体温を調節する機能が備わっています。ところが、がんの治療中には、環境的な暑さや身体の発熱には関係なく、突然、カーッと暑くなって汗が噴き出ることがあります。このような症状をホットフラッシュというのですが、これには発汗のほかに「のぼせ」や「ほてり」などの症状も含まれています。

 ホットフラッシュは、一般的には女性の更年期障害の代表的な症状として知られています。では、この症状ががん治療とどういう関係があるのでしょうか。ホットフラッシュに悩むことが多いのは、ホルモン療法(内分泌療法)を受けている患者さんです。

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ホルモン療法とホットフラッシュ

 ホルモン療法は、ホルモンを分泌している部分を手術で切除する、あるいは反対の作用をするホルモン剤を投与することによって、がん細胞の発育を阻止する治療法です。例えば子宮体がんや卵巣がんなどの手術で卵巣を切除すると、女性ホルモンが分泌されなくなるため、年齢に関係なく更年期と同じようなホットフラッシュが起こります。

また、乳がんの場合には、エストロゲンという女性ホルモンががん細胞の発育を促進しているので、ホルモン療法では女性ホルモンとは反対の作用をするホルモン剤(男性ホルモン)を経口、あるいは注射で投与し体内のエストロゲンの濃度を下げます。そのため、ホットフラッシュが起こるのです。

ホットフラッシュはホルモン療法の代表的な副作用で、ホルモン療法を受けている乳がん患者さんの過半数が経験する症状とされています。しかし、ホルモンバランスの急激な変化に身体が対応しきれずに起こる症状なので、身体が慣れてくれば数カ月から数年で治まってきます。

ホットフラッシュなどのホルモン療法の副作用がひどい場合は、休薬や中止で対応します。また、女性ホルモンの補充療法という選択肢もありますが、乳がんの場合は再発リスクを高めるため、注意が必要です。

ホルモン療法後には男性にも起こる症状

 ホットフラッシュは、女性だけの悩みではありません。実は、前立腺がんの治療を行っている男性にも起こります。前立腺がんは、男性ホルモンの影響により進行します。そのため、手術で左右両方の精巣を摘出した場合や、ホルモン療法で男性ホルモンの分泌や作用を妨げる薬剤投与を行っていると、副作用としてホットフラッシュが起こるのです。治療開始後数週間経つと症状が出てくるといわれています。

前立腺がんで、ホルモン療法を受けている男性の6~8割は、ホットフラッシュを経験しているといわれています。ホルモン療法の副作用は一過性で、ホルモン療法の治療開始から数カ月くらい経つと徐々に軽くなってくるといわれています。しかし、症状が強く耐え難い場合には、薬の種類を変更したり、ホットフラッシュを軽減する別の薬を併用したり、場合によっては治療を中止するなどの対応策が必要です。

また、漢方製剤の桂枝茯苓丸の服用によって、ほてりや発汗で困っている患者さんの2~3割で改善がみられたという報告もあります。

なお、体調の変化については一人で悩みを抱え込まず、担当医や看護師に相談しましょう。医師に相談する際には、どういう症状が起こり、それが日常生活にどういう影響があるのかなど、一度整理してから伝えるようにするといいでしょう。

日常生活を工夫して対処するには

 日常生活で急なほてり感や発汗への対応としては、ぬるめの湯温の入浴やシャワー浴が症状を抑える効果があるといわれています。また、空調を調節し、汗で体を冷やさないように吸湿性のよい肌着や衣類を選び、こまめに着替えましょう。

たくさん汗をかくと、衣服が濡れて不快感を伴うこともあるので、吸汗・速乾性に優れた機能性下着などがお勧めです。腋の下の汗じみが気になるときは、衣服の腋の部分に貼る汗取りシートや、汗とりインナーのついた下着を利用する方法があります。また、カーディガンや上着などで暑さや寒さを調整するようにして、脱ぎ着しやすい服装を心がけることも大切です。

香辛料をたくさん使った食事や、酸味の強い食事、熱い飲み物、カフェイン入りの飲み物などは、ホットフラッシュの症状を強めるといわれるので、できるだけ控えるほうがいいでしょう。ストレスもほてり感などの誘因になりやすいので、ストレッチ体操や散歩などの適度な運動をしたり、好きな音楽を聴いたりして、心身の緊張をほぐしてリラクセーションを心がけましょう。

また、時には外来診察の待ち時間や治療時などに出会うほかの患者さんと症状や対処方法について話をしてみましょう。同じような悩みを抱えている人と話すことで、つらさが少し和らぐこともあり、良いアドバイスを得られるかもしれません。患者会などに参加し情報交換するのもよい方法です。

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