【QOL(生活の質)】がん療養中に注意したい食事作りのポイント

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公開日:2016年5月31日

 がんの治療中によく見られるのが食欲不振や下痢・便秘などの悩みです。治療の影響や精神的なものなど、原因はさまざまですが、ちょっとした食事の工夫が症状の軽減につながることもあります。ここではそんな工夫ポイントをいくつか紹介します。

治療の副作用などによる食欲不振とおう吐

 抗がん剤や放射線治療など、がん治療は副作用で一時的に食欲に影響を与える場合が少なくありません。食欲不振に悩んだり、食材のにおいや味でおう吐したりすることがあります。しかし、治療中のこうした不快な症状は、治療が終わると消えたり、軽減したりします。食べようと無理をしたり、食べられないからといって落ち込んだりしないでください。

心身の栄養補給のためには、食事は1日3回と決めつけず、一度に食べる量を減らして、食べる回数を増やしてみましょう。また、無理をしてあれこれ食べようとしないで、できるだけ自分が好きなものを食べるようにするといいでしょう。そして、「食べたい」と思ったときに、いつでもすぐに食べられるような軽食を準備しておくのがポイントです。

例えば、クラッカーにスモークサーモンやポテトサラダ、チーズ、フルーツなどをのせたカナッペは、作るのも食べるのも手軽なスナックです。また、アイスクリーム、シャーベット、ゼリー、果物、冷たいめん類、卵豆腐、冷奴などは、口当たりがよく、少量でも滋養になります。フルーツを冷凍しておくとシャーベット状になるので、好みの状態で解凍しながら食べるのも手軽な方法の一つです。みかんやメロンなど、試してみてください。

においがおう吐の引き金になる場合には、ニンニクやニラ、ネギなどの香味野菜を避け、魚や肉を使った料理には、生姜や梅、柚子などで特有のにおいを消すといいでしょう。 なお、おう吐を繰り返すときには脱水症状にならないように、水やお茶、スポーツ飲料、スープ、みそ汁など、無理なく口に入るもので水分補給を心がける必要があります。

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お口のトラブルで、食べられない、食事を楽しめない

 お腹は空くし、食べたい気持ちはあるのに、「食べられない」あるいは「食事を楽しめない」ということもあります。舌切除手術後に、噛む、飲み込むといった嚥下(えんげ)機能がうまくいかない場合には、食材選びや調理に工夫が必要となります。軟らかい食材を選び、家庭用のクッキングカッターやジューサーミキサーで食べやすい状態にして嚥下機能をサポートしましょう。スープやみそ汁などにはとろみをつけるとむせにくくなります。

口内炎が生じている場合には、口の中を刺激しないことがポイントです。熱いものや冷たいものを避けて、食べ物を人肌程度の温度にするといいでしょう。硬いものやフライの衣なども、咀嚼(そしゃく)の際に炎症部分に当たると痛みを増強させるので避けたいものです。香辛料や酢のもの、柑橘類も口内を刺激します。痛みがあるときはこれらを避け、軟らかい食材を薄味で、炎症部分を刺激しない調理方法を心がけましょう。卵や豆腐は良質なタンパク質であるうえに、食材自体が軟らかいので、茶碗蒸し、卵豆腐、温泉卵、冷奴といったいろいろな味わいを楽しめる滋養のある食材といえます。

このほかに抗がん剤の副作用や頭頸部への放射線療の影響で、食材から鉄の味がしたり、慣れ親しんだ食材なのに今までとはまったく別の風味を感じたりする味覚障害が起こる場合があります。

このような味覚の問題で食事が楽しめないときには、口に合う調味料で味を変えてみましょう。カレー風味や酸味づけなど、好みの味が見つかると、食事が楽しめます。また、魚、鶏肉などのタンパク質や鉄分が豊富な食べものにこうした味覚の問題が起こることが多いので、これらの代わりに卵・乳製品、大豆などの豆類を摂るようにするのも工夫のポイントといえます。

下痢や便秘など、食べた後に不具合がある

 食欲があって、食事ができても、下痢や便秘などに悩まされるケースもあります。

抗がん剤の副作用や腹部への放射線照射などにより、下痢を起こすことがあります。下痢が起こると大量の水分を失うため、脱水症状にならないように注意が必要です。こまめに水分補給を心がけ、下痢が長く続く場合には電解質の補給も必要です。室温か人肌程度に温めたほうじ茶や麦茶で水分を、そして電解質はスポーツ飲料などでこまめにとるといいでしょう。

食事の際は、消化器官の粘膜を刺激しないように、香辛料やカフェイン、アルコール、炭酸飲料、揚げ物を含む高脂肪食品などは控えてください。また、海藻類、きのこ類、こんにゃく、ごぼう、豆類、イモ類など食物繊維の多いものも、消化しにくいので避けたほうがいいでしょう。食事が摂れるようなら、おかゆやスープなど温かく消化の良いものを少しずつ食べるようにします。ただし、水様便が続く場合は絶飲食にして、受診しましょう。

逆に便秘になりがちな場合には、スムーズな排便を促す食事を心がけましょう。工夫のポイントは、食事の量や種類。食べる量が少ないと便が少なくなり、出にくくなります。食物繊維は消化吸収されないので、便の量を増やす効果があります。したがって、食事の制限がなければ、なるべく野菜、海草などの食物繊維の多いものを十分に食べるようにしましょう。また、適度な脂肪摂取は、便を軟らかくし、滑りをよくする働きがあります。

さらに十分な水分摂取も便秘解消には不可欠です。なぜなら、水分摂取量が少なかったり、発汗が多かったりすると、体内の水分が少なくなるので便が硬くなってしまい、排出されにくくなるからです。みそ汁やお茶などを含めて、1日にコップ7〜8杯ほどの水分を摂るようにしましょう。なお、朝起きてすぐにコップ1杯の冷水または牛乳を飲むと、腸が刺激されて排便が促されます。

※掲載している情報は、記事公開時点(2016年5月31日)のものです。