【QOL(生活の質)】今後の在宅医療

最先端がん治療紹介の編集方針について

「再発転移がん治療情報」では、がん治療に精通した医師の方へのインタビューや学会、患者会ほか独自の取材を通して、新しいがん治療情報を随時ご提供しております。手術、抗がん剤、放射線治療と言った標準治療の中でも最新の治療法や、免疫療法や漢方など注目の治療法を取り上げていきます。また、このサイトでは特に進行がんやがんが再発・転移された方に有用と思われる情報を掲載していきたいと考えております。
がん治療に関するニュースや情報サイトは他にもたくさんありますが、再発・転移がんに特化したものは少なく、また、毎日更新される膨大な情報をチェックし、ご自身の治療に役立つものをピックアップしていくことは容易ではありません。
本サイトでは、再発・転移がんの治療を対象としたトピックをどなたにも分かりやすくお伝えし、治療を必要とされる患者様へ新しい選択肢をご提供したり、前向きに治療に取り組むお手伝いが出来るサイト作りを目指しております。

公開日:2012年5月1日

国が在宅医療に本腰を入れた

2年に一度の診療報酬改定では、そのつど高い点数を配分する”重点項目”が決められます。日本の医療において、特に需要の高い分野の報酬を引き上げ、その分野を担う医療機関を増やすためです。平成24年度の改正では、在宅医療が重点項目の1つに掲げられました。その背景には、がん治療の外来化・在宅が進んだことや、自宅で療養したいという人が増えてきたことがあります。また、国としても、入院医療から在宅医療中心にシフトすることで、医療費の増加を抑えようという目的があると言われています。

新たに導入された「機能強化型在支診・在支病院」とは?

最大のポイントは、新たに「機能強化型在宅支援診療所・在宅支援病院」(機能強化型在支診・在支病院)が導入されたことです。これは、24時間対応、緊急時対応など一定の条件を満たす医療機関が、高い報酬を得られるという制度です。これまでも、「在支診・在支病院」はありましたが、医師が一人しかいない医療機関では24時間対応などが難しく、十分な数が確保できていませんでした。制度の名称に「強化型」とついたのは、医療機関同士の連携を推奨して機能を強化し、在宅医療に対応する医療機関を増やす狙いがあります。「強化型」は従来の在支診・在支病院より高い報酬が設定されました。

機能強化型在支診・在支病院は、次の3つの条件を満たすことで認められます。
(1)常勤医師3名以上
(2)過去1年間の緊急の往診実績5件以上
(3)1年間の看取り実績2件以上
今後、この条件を満たす医療機関の増加が予想されます。自宅でがん治療を受けたい人にとっては覚えておきたいポイントです。

訪問看護が受けやすくなる

診療所や病院と並んで、在宅医療を支える訪問看護ステーション。今回の診療報酬改定では、訪問看護を受けやすくなる方向の見直しもありました。
病院を退院する際、患者としてはその後の療養に不安や疑問を感じることがあります。そうした問題を解消するために、病院と訪問看護ステーションが共同で退院後の説明・指導を行うと、双方が新たな報酬(退院時共同指導料)を得られるようになったのです。 また、がんをはじめ、療養において特別な管理が必要な患者に関して説明・指導をした場合は、さらに報酬が加算されます(特別管理指導加算)。対象となる条件は下記の通りです。これまで在宅療養が難しいとされていた疾患に対し、病院や訪問看護ステーションがていねいな説明・指導を行うようになります。

[特別管理指導加算の対象]
(1)在宅悪性腫瘍患者、在宅気管切開患者、気管カニューレもしくは留置カテーテルを使用している患者
(2)在宅で以下の医療管理を行う患者(自己腹膜灌流、血液透析、酸素療法、中心静脈栄養法、成分栄養・経管栄養法、自己導尿、人工呼吸、持続陽圧呼吸療法、自己疼痛管理)。または在宅肺高血圧症患者
(3)人工肛門または人工膀胱を設置している患者
(4)真皮を越える重度の褥瘡(じょくそう)のある患者
(5)在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

病院に入院できる期間が短くなる

在宅医療を担う医療機関や訪問看護ステーションを充実させる一方で、病院に入院できる日数は短くなります。今回の診療報酬改定で、患者を早く退院させた病院が得られる「退院調整加算」が強化されたからです。これは、がんや認知症など退院困難な患者に対し、以下の退院支援を行った場合に、病院が受け取る報酬です。

◎病院全体の中から、退院困難な患者を入院後7日以内に抽出し、「退院支援計画」を作成する。
◎退院困難な患者に対し、できるだけ早期に患者家族と退院後の生活について話し合い、関係職種と連携して退院支援計画を作成する。
◎退院支援計画に基づいて、退院・転院後の療養を担う医療機関との連絡調整や、介護サービスの導入にかかわる調整を行う。
◎退院時共同指導料と同時に算定する場合には、連携医療機関と患者が在宅療養にむけて必要な準備を確認し、患者に対して文書で情報提供する。
つまり、がんなどで入院したとしても、病院は7日以内に退院に向けた計画を準備するというわけです。患者本人や家族との話し合いや、退院後の受け皿となる医療機関との連携が整ったところで無事退院できれば、病院は報酬を得られます。

金曜入院・月曜退院・正午までの退院が減らされる

入退院に関しては、曜日による制限も設けられました。金曜日に入院して月曜日に退院することを、なるべく避けるように診療報酬が設定されたのです。なぜなら、土日は病院の医療スタッフが少なく、検査や手術ができないことがあります。十分な医療体勢がないのに患者を入院させるのは医療費の無駄遣いにつながる、と国が解釈したというわけです。金曜入院と月曜退院の割合が高く、土日に手術や高度な医療処置などを行わない場合は、病院の報酬が減額されることになりました。

同じ理由で、正午までの退院も制限されます。退院日に手術や高度な医療処置を行わない場合は、報酬が減らされることがあります。
患者としては、週末の入院やお昼までの退院がしにくくなることを覚えておきたいものです。

※掲載している情報は、記事公開時点(2012年5月1日)のものです。