【最新医療】膵臓がんの最新治療

公開日:2013年12月02日
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歌舞伎俳優 坂東三津五郎さんも膵臓がんと闘う

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 つい先日、歌舞伎俳優の坂東三津五郎さん(57)が膵臓がんと診断され、メディアで大きく報道されました。早期発見されたとのことでしたが、手術をした後はしばらく休養されるそうです。

 全国がん(成人病)センター協議会の調査(2013年3月集計)によると、膵臓がんのステージⅠの生存率(3年)は43.3%。Ⅱ期は17.8%と公表されています。他のがん腫の生存率は通常5年で示されますが、膵臓がんの場合は血管や腹膜など周囲の臓器に広がりやすく、生存率が3年で示されるほどで、治療が難しく,生存率が最も低いがんの一つとして知られています。

 厚生労働省の人口動態調査によると、平成23年の日本における膵臓がん死亡者数は28,815人と公表されていて、年々増加傾向にあります。

 膵臓の役割は大きく2種類あります。一つは血液中の血糖値をコントロールするホルモンを分泌することで、もう一つは消化を助ける消化酵素を分泌する役割を担っている重要な臓器です。すい臓の場所は、膵臓は正面からみた時に、胃の後ろ側にあり、周りを胃、十二指腸、肝臓、脾臓に囲まれています。

 早期発見が難しい理由にはそのような構造的な理由や、超音波検査などでも消化管のガスに重なると観察しづらい点があげられています。

 また、胃がんにおける「もたれ」や「痛み」、大腸がんにおける「下痢」や「血便」などの初期症状がなく、自覚症状ないままに進行してしまい、検査で見つかるような大きながんになってからでは、多臓器への転移のした後だったり、周囲の血管やリンパ節に浸潤していることがほとんどです。これが「沈黙の臓器」と呼ばれている理由となっています。

膵臓がんの治療方法

 膵臓がんの治療法はステージ(がんの進行具合)によって、手術・放射線・化学療法から選択されることになります。まずは手術によって取り除くことができるか検討されるでしょう。

 しかし診断時にすでに手術適用とならない場合も多いため、その場合には根治目的ではなく、延命とQOLを落とさないための治療方針が検討されることになります。膵臓のある場所は奥まっていて非常に手術の技術も要求されると言われます。

 手術適用とならなかった場合でも、症例数の多い病院や医師を見つけることで手術適用と診断される場合もあるでしょう。セカンドオピニオンを考えることも重要でしょう。

 セカンドオピニオンでも、根治的な手術が不可能と診断された場合には、化学療法(抗がん剤)が検討されるでしょう。現在治療に使われているのはゲムシタビン(ジェムザール)とテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウ(TS-1)といわれるお薬です。このジェムザール単剤、TS-1単剤、両方の併用を比較した試験が行われて、国際学会にて結果が発表されました。

 いままでの標準治療薬であるゲムシタビンに対して、経口抗がん剤であるTS-1が非劣性であることが確認されています。またTS-1とゲムシタビンの併用療法は優越性を検証することができなかったと発表されています。ジェムザールは点滴を受ける必要があるのですが、TS-1は経口剤のため価格面や飲みやすさなどが評価される場合もあるでしょう。また、それぞれの薬の副作用なども含めて、よく主治医と相談することが大切です。

【 大鵬薬品工業株式会社のプレスリリースより抜粋 】
 本試験結果において、ASCO発表演者である大阪成人病センター 井岡 達也先生は「膵がん治療の標準療法であるゲムシタビン単独に対して、TS-1が非劣性を示したことは大きな意義がある。経口剤による標準治療を受けることが可能になる」とコメントをされています。

 大鵬薬品は、今回のGEST試験の結果は膵がん治療に大きく貢献するものであったと考えております。さらなる検討を進め、膵がん領域における治療法の開発を進めてまいります。( http://www.taiho.co.jp/corporation/news/2011/20110608.html

最新の治療方法

 2010年に国際学会ASCOにて「FOLFIRINOX療法」と呼ばれる4剤を併用する治療法の成績が発表されました。副作用は強いので、全身状態が良好の患者さんが受けることが望まれますが、今までの治療法よりも生存率を伸ばすことが証明されました。欧米などではすでに膵臓がんの標準治療に組み込まれているようです。

 日本ではまだ保険での適用ができずにいましたが、4剤を販売する各社が厚生労働省に対して、適応追加を申請したことが話題になっています。日本でも臨床現場で使われる日が近づいています。

 また、パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤(アブラキサン)とダムシタビンの併用療法がアメリカ(FDA)にて承認を受けています。これもゲムシタビンの単剤療法よりも延命効果が若干認められています。日本でも適用追加の動きも含めて注目されています。

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