【最新医療】がん経験者 喫煙で二次原発がん発症リスクが上昇

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公開日:2014年12月29日

 タバコの煙には4,000種類以上の化学物質が含まれ、そのうち200種類以上は有害であり、その中には少なくとも60種類以上の発がん性物質などが含まれるといわれています。こうした有害物質を体内に取り込むことにより、がんをはじめ、さまざまな健康障害を引き起こすことが、国内外の多くの研究によって示されています。

 

腎がん経験者の二次原発がん発症リスクは5倍強

 喫煙とがんの関係についてはさまざまな研究成果が報告されていますが、がん経験者の喫煙と二次原発がん発症リスクに関するデータは限られています。米国立がん研究所(NCI)のMeredith S. Shiels氏らの研究グループは、がん経験者15,084人(肺がん〈ステージⅠ〉2,552人、膀胱がん6,386人、腎がん3,179人、頭頸部がん2,967人)について、初回のがん診断前の喫煙状況と二次原発がん発症リスクとの関連を検討しました。

その結果、初回診断前に1日20本以上たばこを吸っていたがん経験者は非喫煙者に比べて、二次原発がんの発症リスクが高いことがわかりました。リスクの大きさをがんの種類別にみると、腎がんでは5.33倍、頭頸部がんでは4.45倍、膀胱がんでは3.67倍、肺がん〈ステージⅠ〉では3.26倍でした。1日20本以上喫煙する人は非喫煙者に比べて初回がん発症リスクが5.41倍高く、二次原発がん発症リスクもほぼ同程度に高いことが明らかになりました。

なお、膀胱がん、腎がん、頭頸部がんの経験者で、初回診断前に禁煙した人は、禁煙の年数が長くなるほど二次原発がん発症リスクが低下する傾向が認められたといいます。こうした結果から、初回がん診断前の喫煙はがん経験者の二次原発がんリスクを高めるため、禁煙が重要であることは言うまでもありませんが、がん経験者の中には喫煙を続ける人が少なくない現状も報告されています。

 

喫煙、受動喫煙は最高レベルの発がんリスク

 米国がん協会(ACS)のJ. Lee Westmaas氏らの研究グループは、同協会に登録しているがん経験者2,938人の喫煙に関する状況、要因を調査したところ、初回診断から約9年経過した時点で、全体の9.3%が喫煙を継続(過去30日以内に喫煙)していました。

喫煙率が最も高かったのは膀胱がん(17.2%)で、以下、肺がん(14.9%)、卵巣がん(11.6%)、メラノーマ(7.6%)、腎がん(7.3%)、大腸がん(6.8%)と続きます。継続して喫煙しているがん経験者の83%は毎日喫煙し、1日当たりの平均喫煙本数は14.7本でした。

また、毎日喫煙しているがん経験者の4割は1日当たりの平均本数が15本を超えていました。しかし、継続して喫煙しているがん経験者のおよそ3分の1に禁煙の意思があり、さらにその4割は「翌月には禁煙したい」と考えていることがわかりました。

WHOの専門機関である国際がん研究機関(IARC)の発がん性リスク分類では、喫煙と受動喫煙はいずれも、放射線やアスベストなどと同じ分類基準「グループ1」(ヒトへの発がん性を示す十分な証拠がある)に入ります。受動喫煙とは、喫煙者が吐き出す煙(呼出煙)や、たばこが燃焼して立ち上る煙(副流煙)を周囲の人が吸わされることです。

副流煙イメージ

IARCは、口腔、鼻咽頭、副鼻腔、喉頭、肺、食道、胃、膵臓、大腸、肝臓、腎臓、尿管、膀胱、子宮頚部、卵巣、骨髄性白血病のがんを「グループ1」と判定しています。

 

 

受動喫煙率の目標 家庭10.7%→3%、飲食店50.1%→15%

 日本たばこ産業株式会社(JT)が行った「全国たばこ喫煙者率調査」(2014年)によると、日本人の喫煙率は19.7%で、前年に比べて1.2ポイン低下しました。厚生労働省の調査でもこの10年間で喫煙率は低下傾向がみられます。

しかし一方、家庭では9.3%、学校では6.8%、行政機関では9.7%、医療機関では6.5%の人が受動喫煙しており、特に、職場(33.1%)、遊技場(35.8%)、飲食店(46.8%)での受動喫煙率は依然高いままであることが明らかになりました(「平成25年国民健康・栄養調査結果の概要」)。

厚生労働省の「がん対策推進基本計画」(平成24年度~28年度)には、「喫煙率については、2022年度までに成人喫煙率を12%とすることと、未成年者の喫煙をなくすことを目標とする。さらに、受動喫煙については、行政機関および医療機関は同年度までに受動喫煙の機会を有する者の割合を0%、職場については2020年までに受動喫煙のない職場を実現することを目標とする。また、家庭、飲食店については、喫煙率の低下を前提に、受動喫煙の機会を有する者の割合を半減することにより、2022年度までに家庭は3%、飲食店は15%とすることを目標とする」としています。

日本の2013年の死亡者数は約127万人で、がんによる年間死亡者数は約36万人でした。がんによる死亡のうち男性の約40%、女性の約5%は喫煙が原因と考えられています。 さまざまながんの原因の中で、喫煙は予防可能な最大の因子です。がん患者さんにとって喫煙を続けることで治療の合併症、二次原発がん、死亡のリスクが高まることは明白であり、禁煙し、同時に受動喫煙の回避を心がけることが重要です。

たばこを止めようと思ってもやめられないのは意志の弱さではなく、ニコチンによる強い依存性が原因かもしれません。禁煙グッズなどを使っても効果がない場合、主治医に相談のうえ禁煙外来を受診するのも1つの方法でしょう。

※掲載している情報は、記事公開時点(2014年12月29日)のものです。