【特集記事】注目が高まる「唾液によるがんリスク検査」。 「がん検診」とは異なる、その活用法は。

公開日:2019年01月31日
先端がん治療紹介の編集方針について

「再発転移がん治療情報」では、がん治療に精通した医師の方へのインタビューや学会、患者会ほか独自の取材を通して、がん治療情報を随時ご提供しております。手術、抗がん剤、放射線治療といった標準治療についての情報はもちろん、免疫療法や漢方などさまざまな治療法を取り上げていきます。また、このサイトでは特に進行がんやがんが再発・転移された方に有用と思われる情報を掲載していきたいと考えております。
がん治療に関するニュースや情報サイトは他にもたくさんありますが、再発・転移がんに特化したものは少なく、また、毎日更新される膨大な情報をチェックし、ご自身の治療に役立つものをピックアップしていくことは容易ではありません。
本サイトでは、再発・転移がんの治療を対象としたトピックをどなたにも分かりやすくお伝えし、治療を必要とされる患者様へ新しい選択肢をご提供したり、前向きに治療に取り組むお手伝いが出来るサイト作りを目指しております。

近年、手軽に受けられるがん検査として注目されている「唾液によるがんリスク検査」。がんの早期発見が重要視される中、がんリスク検査が果たす役割や活用の仕方、がん検診との違い等について、当社団法人代表理事、東京ミッドタウンクリニック院長、田口淳一先生にお話を伺いました。

目次

唾液を採取するだけ。その手軽さで注目されるがんリスク検査

テレビでの特集が放映されてから、私が勤務しているクリニックでも「唾液によるがんリスク検査」のご質問をいただくことが多くなりました。2人に1人ががんになると言われる時代、やはりがんは怖い、だけど、がん検診を受けるのはなんとなく先送り・・・、そんな方が多いためなのでしょう。「唾液を採取するだけ」という簡便性に魅力を感じ、「これなら」と重い腰を上げられるのでしょうね。

実際に、検査はあっという間です。専用の容器に唾液を0.1ccと少量入れるだけという実に簡単なプロセスです。体内のがん細胞が代謝する物質は血管を通り唾液に染み出すため、唾液に含まれる代謝物の濃度でがんの疑いがあるかどうかを調べるというしくみです。

唾液によるがんリスク検査に使用する専用の容器

がん検診とがん“リスク”検査の違い

東京ミッドタウンクリニック 院長、田口淳一

この魅力的な検査を、私が勤務する東京ミッドタウンクリニックの特別診察室では検査単体としてではなく、充実した内容の人間ドックコースに組み込まれた「フォロー検査」として導入しています。

CTやMRIを含めた人間ドックのコースをまずは受けていただいた上で、3ヵ月ごとのフォローアップとして、この「唾液によるがんリスク検査」と血液検査を組み合わせているのです。それには理由があります。

「唾液によるがんリスク検査」は、確かにすばらしい特徴を持つ有益な検査なのですが、それだけで「がんである」という診断を下せる検査ではありません。あくまでも「リスク」をチェックする役割を果たすものなので、がんをしっかりと確認し見つけるには、CTやMRI等での画像診断がやはり欠かせないのです。

年に一度の人間ドックでのがん検診を受けていただいた上で、こういったリスク検査でフォローする。このように組み合わせることで、「がんの早期発見」の精度を高めようという考え方です。「唾液によるがんリスク検査」は、早期発見が極めて困難とされている膵臓がんも対象となっており、その意味でも、人間ドックと組み合わせることで大きな役割を果たすことができると考えています。

「がん検診」の重要性について考えるきっかけに

唾液以外にも、尿や血液からの検査など、がんリスクを知るための検査方法は様々登場しています。「がんを見つけるためには、CTやMRIでの画像診断は欠かせない」ということはきちんと理解していただきたい一方で、このような簡易的な検査を知って、今まで「検査は、いつかね」と長年先送りにし続けてきた方が、まずは大事な最初の一歩を踏み出すきっかけになるなら、その点においても大変大きな意味を持つのではないでしょうか。

がんの効果的な治療のポイントは、なんといっても早期発見です。発見が早いほど根治の可能性が高まりますし、ご自身のニーズに合わせた治療法の選択も可能となります。「がん検診」と「がんのリスク検査」、それぞれの役割を正しくご理解の上、うまく活用いただければと思います。

■早期発見が難しい膵臓がんの基礎知識

膵臓がんは、がんの中でも早期発見が非常に困難ながんのひとつで、5年生存率も8%程度と全がん種の中で最も低い※です。

膵臓は、胃や十二指腸、大腸、肝臓、胆のう、脾臓などの後ろに隠れており、「沈黙の臓器」とも呼ばれています。体の深いところにあり、超音波も届きにくく内視鏡の挿入も困難であるため、がんが出来た場合にも見つかりにくいです。また、早期には自覚症状がほとんど現れず、膵臓がんの多くは見つかったときにはかなり進行している場合がほとんどです。

日本での膵臓がん死亡数は増加傾向にあり、女性では大腸・肺に続いて3番目、男性では肺・胃・大腸・肝臓に続いて5番目※に多くなっています。どのがんにもいえますが、特に膵臓がんは進行も早いことから、定期的な検診や検査を受け、出来る限り早期発見することが大切です。

※国立がん研究センター がん情報サービスより

取材にご協力いただいたドクター

田口 淳一先生

田口 淳一 (たぐち じゅんいち) 先生

一般社団法人あきらめないがん治療ネットワーク 代表理事
東京ミッドタウンクリニック院長
東京ミッドタウン先端医療研究所 所長

主な資格・略歴など
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会循環器専門医
日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医
東京医科歯科大学 難治疾患 研究所 非常勤講師
日本人間ドック学会 遺伝子検査に関わる検討委員会 委員長
東京医科大学 客員教授
日中医学交流センター 理事 他

関連記事

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。