【最新医療】免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の薬価改定 2月1日から半額に

公開日:2017年01月31日

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現在4種類のがんに適応のあるオプジーボ

 免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボ(一般名:ニボルマブ)の薬価が平成29年2月1日から半額に改定されました。これはオプジーボの適応追加に伴って、当初の想定を超えて大幅に市場が拡大し、放置すれば医療費の増大を招くなどで、健康保険制度への影響を懸念してとられた措置です。

がん細胞には、ヒトの細胞傷害性T細胞にがん細胞を攻撃されないようにT細胞の活性を抑える免疫チェックポイントというしくみがあります。これを逆手にとって、免疫にブレーキをかけようとする免疫チェックポイントを阻害することでT細胞はがん細胞を攻撃することができるようになります。この機構を利用したのが免疫チェックポイント阻害薬で、オプジーボはブレーキ役のPD-1を邪魔するヒト型IgG4モノクローナル抗体です。

オプジーボは2014年7月、世界に先駆けて根治切除不能な悪性黒色腫(メラノーマ)への適応が日本で承認され、9月に発売されました。その後2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに適応が拡大、さらに、2016年8月に根治切除不能または転移性の腎細胞がん、12月に再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する追加適応が承認されました。12月には治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する追加適応の承認申請も行われています。

薬価は100mg当たり約73万円

 薬剤開発においては、最も緊急性が高い領域や、治療薬がない疾患など、一般的には小さな市場のものから始めて、それから適応拡大していくのが一般的な戦略とされています。特に抗がん剤については、通常は最も効果が期待できる領域から開発し、希少疾患で有効な治療薬が望まれている場合は、早く治療薬を患者さんに届ける意義もあって、結果的にこうした薬剤が先に上市される傾向があるようです。

また、新薬の薬価は、開発費が回収できるように、治療薬が適応となる患者数を考慮して決められます。オプジーボの薬価を巡っては、さまざまな角度から検討されました。

まず、対象患者数は年470人と予測されるメラノーマの治療薬として最初に承認されました。オプジーボは抗体医薬であり、生きた細胞で遺伝子組み換え技術を用いるため工程が複雑で開発原価が高くなりました。

また、日本で初めて承認されたため、他国との比較ができませんでした。これらの条件を加味した結果、オプジーボの薬価は100mg当たり約73万円と高額になりました。

その後、年間の患者数が少なくとも約5万人ともいわれる非小細胞肺がんの適応が追加されました。薬価は変わらず、予想対象患者数と売り上げ予測は大きく膨らみました。薬価の改定は原則として2年ごとに行われ、2018年度まで変更できないという制度の縛りがあります。

今後もさらに適応追加が見込まれ、対象患者数の増加に伴う薬剤費の増加が予測されます。こうして高額な医薬品が医療費全体に影響を及ぼし、国民皆保険の根幹さえ揺るがしかねない懸念がもたれていました。

「特例拡大再算定」を適用して新薬価を算出

 オプジーボに関する高額薬剤の問題は、2016年4月に開催された財務省の財政制度等審議会財政制度分科会で指摘され、注目されるようになりました。分科会では、オプジーボを投与される患者1人当たりの薬剤費は年間3500万円であり、非小細胞肺がんの患者数5万人の場合は年間1兆7500億円という薬剤費が示されました。厚生労働省はオプジーボを「市場拡大の程度が極めて突出した薬剤」として判断し、薬価を引き下げる方向で検討に入りました。

オプジーボの薬価は、「特例拡大再算定」を適用して算出されます。特例拡大再算定は一定以上の年間販売額に達した薬の価格を強制的に引き下げるための制度です。医療用医薬品は国が定めた公定薬価によって値段が決められており、通常は薬価改定によって少しずつ値段が下がっていきます。

特例拡大再算定では、年間販売額が1000億〜1500億円で予想の1.5倍以上の薬剤については薬価を最大25%引き下げ、1500億円超で予想の1.3倍以上の薬剤は最大50%引き下げられます。オプジーボの場合、年間販売額の合計が1500億円を超え、かつ基準年間販売額の1.3倍以上に該当することから、薬価を最大50%引き下げるルールが適用されました。

その結果、点滴静注20mgが15万200円から7万5100円に、100mgが72万9849円から36万4925円になりました。中央社会保険医療協議会では現在、薬価制度の抜本改革に向け、効能追加などに伴う市場拡大への対応などについて検討を行っています。

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