パープルリボン2011 in東京 市民公開講座「すい臓がんに光をあてる」取材レポート

公開日:2011年06月27日

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化学療法の最前線 ~新しい分子標的薬が認可!

抗がん剤については、癌研有明病院消化器センター副院長の石井浩先生から解説がありました。現在では古典的な抗がん剤と言われる「フルオロウラシル(商品名5-FU)」は、1956年から20世紀後半までの長きにわたって膵がん治療の中心的存在であったこと。その後、登場した「ゲムシタビン(商品名ジェムザール)」は、がんの縮小効果は高くないものの、痛みを取る症状緩和効果と延命効果があり、97年から世界の標準的治療になったこと(日本では01年より使用)など、歴史的な背景が説明されました。

2000年代前半からは、がん細胞のみを狙い撃ちにする抗がん剤・分子標的薬の登場です。「エルロチニブ(商品名タルセバ)」という分子標的薬とゲムシタビンを併用して、上乗せ効果を検証する試験が行われました。その結果は、2005年に「ゲムシタビン単独を上回る」と世界的に認められ、膵がんの治療は大腸がん、乳がんに並んで分子標的薬の時代に突入したのです。 エルロチニブは、日本でも今年5月31日に厚労省の認可が降りる見通しとなりました。近々、臨床で使われるようになります。これまで日本の膵がん治療では、ゲムシタビンと、2006年に認可された経口タイプの抗がん剤「S1(商品名TS1)」の使用が認められていましたが、患者さんの身体にこの2製剤の耐性ができると、治療法がなくなってしまう問題がありました。エルロチニブの認可は、膵がん治療において画期的な出来事と言えるでしょう。

ほかにも、膵がんの新しい治療法について世界中で研究されています。2010年、アメリカの臨床腫瘍学会で発表された「FOLFIRINOX(フォルフィリノックス)」という治療法は、転移性膵癌患者に対し、ゲムシタビン以外の4つの抗がん剤(5-FU、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン)を併用する治療法で、ゲムシタビン以上の治療効果があるとされました。 日本では、これから臨床試験が始まり、「3〜4年後には厚労省の認可が降りるはず」と石井先生は予測しています。ただ、FOLFIRINOXは薬の数が多い分、副作用が強くなる点には注意が必要なようです。

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