パープルリボン2011 in東京 市民公開講座「すい臓がんに光をあてる」取材レポート

公開日:2011年06月27日

目次

膵がんの現状 ~新しい治療の登場で治療成績が向上

ただ、膵がんの分野では、10年ほど前に効果のある抗がん剤が登場しました。そうした薬を用いた集学的治療の成果といっていいでしょう。手術後の生存率は良くなりつつあります。07年の日本膵臓学会の登録報告によると、1991〜2000年の1年生存率は48.4%でしたが、01〜04年には63.6%と大きく向上していました。3年生存率は、20.1%から23.2%、5年生存率は未解析ですが、わずかでも治療成績は向上していると言えるのです。

抗がん剤以外にも、全国の大学病院やがん専門病院では様々な治療が研究されています。その一つ、高密度焦点式超音波治療(HIFU:ハイフ)は、60℃以上の温度の超音波ビームをがんに集中させて照射する治療です。がん細胞は45℃以上になるとだいたい死滅するため、それ以上の温度の熱を体外から膵がんに当てようというのです。 実際に、膵がんの患者さんで60代男性にこの治療法を行った例があります。実施前、この男性の膵がんは近くの重要な血管を押しつぶし、遠い臓器やリンパ腺に転移する一歩手前の状態でした。手術ができるか否か、医師が判断に迷うくらいの進行度です。 その男性に、抗がん剤の投与とHIFUを行ったところ、非常によい治療効果が表れました。治療前はがんで黒い部分が広がっていたレントゲン画像が、がんがない人のような画像になったのです。その後、手術を行うと、膵臓に押しつぶされていた血管を残してがんを切除でき「残った部分の細胞」を顕微鏡で調べると、ほとんどがん細胞がありませんでした。 しかしこの治療法は現在研究段階であり、どんな状態の人にもうまくいくわけではありません。また治療成績のデータが出るのはまだ先の話ですが、がんを小さくして手術できるようにする試みが行われているのは事実です。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。