正しくがんを知ろう-再発・転移性肺がん ガイドライン解説

公開日:2011年07月04日

目次

大きさや転移の状況でステージ(進行度)が決まる

転移の状況やがんのタイプのほか、国際標準「TNM分類」によるステージ分類も、治療法選択の重要な判断材料となります。TNM分類は、がんの大きさ(T:tumor=腫瘍)、周囲リンパ節に転移した数(N:lymph nodes=リンパ節)、他の臓器への遠隔転移の有無(M:metastasis=転移)の3つを勘案してステージ(病期)を判定する方法です。 非小細胞肺がんのステージは、もっとも軽い0期から進行したⅣ期まで、下記のように分類されます。

表3 非小細胞肺がんのステージ分類

がんの大きさ リンパ節転移 遠隔転移
0 期 がんが上皮(肺を覆う膜)の内側にとどまっている なし なし
IA 期 がんが2cm以下、または2cm~3cm なし なし
IB 期 がんが3cm〜5cm。あるいは3cmより大きく臓側胸膜(肺を包む胸膜)に浸潤している なし なし
IIA 期 がんが2cm以下、または2cm~3cm 同じ側の肺門リンパ節転移 なし
がんが3cm〜5cm。あるいは3cmより大きく臓側胸膜(肺を包む胸膜)に浸潤している
がんが5cm〜7cm なし
IIB 期 がんが5cm〜7cm なし なし
がんが7cmを超える。あるいは、胸壁、横隔膜、心膜、縦隔胸膜に浸潤していたり、がんによって肺胞内の空気がなくなっていたり、肺炎が起きているなど
IIIA 期 がんが2cm以下、または2cm~3cm 同じ側の縦隔リンパ節転移 なし
がんが3cm〜5cm。あるいは3cmより大きく臓側胸膜(肺を包む胸膜)に浸潤している
がんが5cm〜7cm
がんが7cmを超える。あるいは、胸壁、横隔膜、心膜、縦隔胸膜に浸潤していたり、がんによって肺胞内の空気がなくなっていたり、肺炎が起きているなど
同じ側の肺門リンパ節転移
がんが、縦隔、心臓、大血管、気管などに浸潤していたり、同じ側の肺の異なる部分に広がっている なし
同じ側の肺門リンパ節転移
IIIB 期 関係なし 反対側の肺門、縦隔、前斜角筋前または鎖骨上窩リンパ節に転移 なし
がんが、縦隔、心臓、大血管、気管などに浸潤していたり、同じ側の肺の異なる部分に広がっている 同じ側の縦隔リンパ節転移
IV 期 関係なし 関係なし 反対側の肺や他臓器への転移あり。肺や心臓の周辺に水が貯まっている

肺がんの再発・転移に用いられる治療法

ステージⅢ期・Ⅳ期は化学療法と放射線療法が中心

がんのタイプとステージ分類がわかったら、下記のような流れで治療方法を決定していきます。一般に、非小細胞肺がんのステージⅠ期、Ⅱ期は手術療法、Ⅲ期、Ⅳ期は化学療法と放射線療法を組み合わせた治療を行います。Ⅳ期では化学療法を基本とし、緩和ケアも行うことがあります。 一方、小細胞肺がんは抗がん剤が効きやすいことから、転移のある場合化学療法を主体に、必要に応じて放射線療法を組み合わせることが多くあります。進展型では緩和ケアが行われることもあります。

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