正しくがんを知ろう-再発・転移性胃がん ガイドライン解説

公開日:2011年06月06日

目次

胃がんの治療法について考える前に、ご自分の身体の状態を把握しておくことが大切です。ここでは、日本胃癌学会の「胃癌治療ガイドライン」にそって、胃がんの広がり方や再発・転移したがんの治療法など解説します。

胃がんの広がり方と再発・転移を解説

最初に胃がんができる場所は胃のいちばん内側の粘膜で、大きくなると徐々に胃壁の深いところに進んでいきます。やがて胃壁をつきやぶり、胃の表面にがんができたり、他の臓器にがん細胞が散らばることもあります。これが、胃がんが進行する基本的な流れです。 そして血管やリンパ管に入り込んだがん細胞が、ほかの臓器に到達してがんになることを「転移」といいます。胃がんの転移には、次のような3大転移があります。

表1 胃がんの3大転移

・リンパ行性転移
がんがリンパ管を通ってリンパ節に転移する。 胃がんの転移でもっとも多いタイプ。
・血行性転移
がんが血管を流れ、肝臓や肺など他の臓器に転移する。
・腹膜播種性転移
がんが進行して胃壁をつきやぶった際、お腹のなかにがん細胞が散らばり、ほかの臓器に転移する。

また、手術などで治ったように見えたがんが、再び顔を出した状態を「再発」といいます。手術時には小さくて肉眼や検査で見つからなかったがんが、時間をかけて大きくなる場合も一定の頻度でおこります。胃がんの再発は、部位によっていくつかの種類にわけられます。

表2 再発胃がんの種類

・腹膜再発(がん性腹膜炎)
胃がんのなかで最も多い再発。進行したがんが胃の表面まで到達する際、お腹のなかにがん細胞が散らばり、ほかの臓器に根付いて大きくなった状態。
・肝再発
胃壁にあったがん細胞が血液にのって肝臓に流れ、そのまま根付いて大きくなった状態。
・リンパ節再発
胃壁のリンパ管から流れ込んだがん細胞がリンパ腺に到着し、大きくなった状態。
・残胃再発
胃の切除手術で残した部分に再びがんができた状態。
・遠隔臓器再発
がん細胞が血液やリンパ液にのって肺や骨、脳など遠くの臓器に到達し、大きくなった状態。

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