乳がん患者「再発率と余命について」

公開日:2011年10月24日
プロフィール
日本人女性70歳 乳がん 左エキカリンパ転移(1個)
相談内容
2種類の治療(分子標的治療のみ,抗がん剤+分子標的治療)を受けた乳がん患者のそれぞれの再発率と余命について。また,左エキカリンパに1箇所転移している状態で分子標的治療のみを行うことは再発の危険性が高いと考えられるか。

医師からの回答

放射線治療医
放射線腫瘍医としての意見です。臨床試験に参加されたわけですが、その二つの治療法を選択した理由として以前の治療報告(文献)などでのデータをもとにしていますので治験を説明した医師が持っているはずです。臨床試験に関することは主治医に納得いくまで確認することが大切だと思います。また、一度参加を表明してもいつでも中止することも可能です。(柏原先生)
外科医
すべての症例で腋窩リンパ節廓清を行なってきました、古い外科医の立場からの意見を述べます。
詳細が不明ですが、最初から腋窩リンパ節を切除された根拠(術前診断)があり、結果的に腋窩リンパ節に転移があるとのことですから、まず術後補助化学療法は必要だと思います。やはり、再発転移の可能性は否定できません。治験に関する考え方は、他の先生方の意見と同じです。たまたま、臨床治験に参加され、希望しないグループに組み込まれたわけですが、副作用など軽度であれば、むしろしっかりした治療群ですから、前向きに考えて治療を受けて下さい。(草野先生)
腫瘍内科医
腫瘍内科医としてご意見いたします。
臨床試験には、第1相試験、第2相試験、第3相試験というように様々な目的のものがあります。それぞれの試験により、現在の標準治療と実験的治療を比較するものや、実験的治療同士を比較するものもあります。また、それぞれの治療で何を比較するのかも異なります。従って、文面だけから、それぞれの試験の治療内容を推測することはできませんので、再発率と余命を具体的に述べることは困難です。唯一、柏原先生のおっしゃるように、臨床試験の計画書や同意書にそれに近いことが記載されていると思いますので、主治医にしっかりと確認してください。
一つ言えることは、早期乳癌の術後補助化学療法の標準治療は、抗癌剤に分子標的薬のハーセプチンを追加することです。従って、今回の試験は、いわゆる年配者では抗癌剤を抜いても治療成績が標準治療に劣らないかどうかを確認するための試験だと推測されます。しかし、抗癌治療薬の具体的名称、分子標的薬の具体的名称がわからないためにこれ以上のことは言えません。
また、「私のように左エキカリンパに1箇所転移しているような状態で分子標的治療のみを行うことは再発の危険性をかなり含んでいると考えられますか。」というご質問に対しては、もし今回の臨床試験が私が推測した通りのものでしたら、分子標的薬のみという治療法は実験的治療になりますから、抗癌剤が投与されないという治療の簡便性・快適性と引き替えに再発のリスクを負うことになると考えられます(結果としてそのリスクはなかったといえる試験成績がでる可能性も当然あります。その場合は、その治療が今後の標準治療の1つになる可能性が高まります。)。
いずれにせよ、もう一度臨床試験の説明を詳しく受ける機会をもつように強くお勧めします。(関先生)
代表理事(総合内科専門医)
内科総合専門医としてまとめさせていただきます。先生方のおっしゃる通り治験に参加されていますので振り分けについては仕方がありません。しかしながら疑問をお持ちの点に関しては、まず主治医の先生にしっかり伺って、治験のもととなった治療成績を聞いてみることが大切です。また前向きに考えることも大事です。(田口先生)