膵臓がん「ジェムザールがベストな治療か。また、セカンドオピニオンないしは転院するメリットはあるか。」

公開日:2014年11月14日
プロフィール
61 歳 女性 すい臓がん 肺、肝臓、大動脈周囲リンパ節に転移を伴う膵頭部がん、副腎、鎖骨付近のリンパ節  転移
相談内容
・ジェムザールが現在のベストな治療法でしょうか。ほかに考えられる治療法はどのようなものがありますでしょうか。
・今回の症状で癌センターなどより専門的な施設に、セカンドオピニオンないしは転院するメリットはありますでしょうか。
・黄疸がでてくると別の治療が始まるということだったのですが、どのような治療がおこなわれると推測されるのでしょうか。
・ジェムザールの副作用はしばらくたってから出てくると病院で言われたらしいのですが、どれくらいで出るものなのでしょうか。
・病院で治療のためか顔に湿疹がでると言われていて本人が気にしているのですが、どのようなものなのでしょうか。
・このような癌の複数の転移がある場合、余命はどのくらいなのでしょうか。また数年生きられた事例はありますでしょうか。
・ほかの病院にセカンドオピニオンとして紹介状を書いてもらう場合、現在受診している病院からの治療はストップしてしまうのが、一般的なのでしょうか。

全身症状指標(パフォーマンスステータス0~4)
パフォーマンスステータス1・・・軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできる。例えば軽い家事、事務など。


痛みの状態(フェイススケール0~5)

フェイス1・・・ちょっとだけ痛い。


現在の治療内容
ジェムザールによる抗がん剤治療


主治医の説明
問い合わせをしているのは、患者の子供です。登録した名前は子供の名前です。 親と同席して主治医の話を聞いた際は、ステージIVで全身に転移があるため抗がん剤治療を行う。胃と大腸には転移はない。肺に転移しているし抗がん剤の副作用により白血球が減少するため、風邪に気をつける必要がある。 なかでも副作用が少ないジェムザールを使用する。ジェムザールで予期される副作用は食欲不振が一番強い。嘔吐、抜け毛は少ない。ジェムザールが効かなければTS1を使う。フォルフェリノックスは患者には耐えられないだろうから使わない。黄疸がでたら別の治療も行う。余命についてはわからない。 樹状細胞と抗がん剤を併用した治療は行わない。希望するならよその病院に行ってほしい。 樹状細胞も20年前くらいから存在しているが、いまだに公な治療法として広まっていないということは、効果がそれほど出ていないということ。他院を希望するなら紹介状を書くが、その場合も当院では治療を行わない。 がんセンターにこれから行っても治療が始まるのが2週間後くらいになるから、治療を行うのが遅れてしまう。当院はそういう方針をとっている。 都心にいけばいろいろと病院があるが、そこにたどり着くための体力があればいいが、朝の電車のラッシュとかに耐えれるのかどうか。

※患者様の相談内容はWEB問診票から一部抜粋しております。

医師からの回答

放射線治療医
肺転移などが見られますので基本的にはジェムザールなどの抗がん剤治療が中心になります。 しかし、腹部や廃部の痛み、黄疸などの予防のためにジェムザールの量を少なくして放射線治療を併用するという方法もあります。 恐らく主治医は反対すると思いますが、今後の症状などを考えると選択肢の一つです。 ただこれも患者の全身状態にもよりますので希望があれば一度主治医と診察で直接ご相談ください。(柏原先生)
総合癌診断医師
・現時点では、抗がん剤治療が中心の治療になります。 まず、ジェムザールを使用して、効果がなければほかの抗がん剤を使用することになると思います。 放射線治療はあくまでも、局所の限局した治療に使われますので、転移を含めた全体の治療として使用されることはありませんが、症状の原因が限局した病変の場合には、症状を和らげる目的で、症状の原因となっている部分だけを治療することもあります。 ・がん専門病院でセカンドオピニオンを受けることは、良いことだと思います。 新しい治療法が見つかるかはわかりませんが現在の病気の状態を正しく知ることができると思います。 また、主治医に直接聞きずらいことや相談しずらいことも聞けると思います。 ・黄疸がでると、黄疸の治療をすることが必要となります。 黄疸は肝臓から排出される黄色い胆汁と呼ばれる液体が流れ出すための管が、がんのために細くなったり、詰まってしまうためにおこります。 この場合には、肝臓の中や肝臓の外の胆管と呼ばれる管にチューブを入れて体の外に胆汁を出すことになります。 ・ジェムザールの副作用が出るまでの時間は、他の抗がん剤よりは遅い傾向にありますが個人差があります。また、その時の状態によって異なりますので、いつごろと、はっきり言うことはできません。湿疹については、通常は、普通の湿疹と同じようなものですが、個人差がかなりあります。 ・余命についても、薬が効いた場合と、そうでない場合では、大きく異なり個人差があります。何年も生存されることは、あまりありませんが、まれに、数年間生存される方もおります。 ・他の病院でセカンドオピニオンを受けることが理由で治療が中止されることは、患者さんが治療を拒否する場合を除いては、通常ありません。 詳しくは医師の診察で直接ご相談ください。(森山先生)
外科医
両先生の意見に追加します。 「樹状細胞も20年前くらいから存在しているが、いまだに公な治療法として広まっていないということは、効果がそれほど出ていないということ。」とありますが、この意見は単なる不勉強から発した回答だと思います。 奏功症例も含め科学的根拠を示す論文も出てきました。 紹介先に名前が出てきました、神奈川県立がんセンターからも、免疫治療の講演依頼がありました。 他院へのセカンドオピニオンの許可も含め、もう一度主治医の先生と相談ください。 (草野先生)

※ドクターはWEB問診票に書かれた情報の範囲内で回答しており、実際の診断には直接の診察が必要です。