大腸がん「体力が落ち、抗がん剤治療もできない。なんとかならないか」

公開日:2014年10月27日
プロフィール
82 歳 女性 大腸がん(直腸がん、結腸がん含む) 腹膜播種 肺 肝臓 卵巣 転移
相談内容
母の病状について記し、質問します。 母は2度、がんの手術をしています。1度目 2012年1月 腸閉塞。その原因となっている大腸がんの手術(S字結腸)。2度目 2013年6月 卵巣に転移。両方の卵巣を摘出。2度目の手術に前後して肝臓転移と腹膜播種を知らされる。 2013年に秋にkras遺伝子の検査。「野生型」とのこと。経過観察をし、適切な時期を見計らって抗がん剤治療をすることになったが、2014年4月、超音波等の診察で「大きな変化はない」と言われたその翌日に再び腸閉塞を起こす。 体力が落ち、医師より抗がん剤治療ができなくなったと言われる。2013年より抗がん剤治療に向けて経過観察をしてきたので「適切な時期」とは、いつだったのかと思う毎日です。今からでも何とかならないものでしょうか。

全身症状指標(パフォーマンスステータス0~4)
パフォーマンスステータス3・・・身の回りにある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している。


痛みの状態(フェイススケール0~5)

フェイス3・・・中等度の痛みがあり、辛い。


現在の治療内容
緩和治療(在宅医療)


主治医の説明
2012年1月大腸がん手術、2013年6月卵巣転移手術の後、2013年9月より抗がん剤による治療を行うために経過観察をしています。 2013年の9月段階では、抗がん剤治療も辛いものであるから、この時期に行うのは早すぎる、2,3か月ごとにCTと血液検査をし、その結果を見ながら医師が適切と判断した時期に抗がん剤治療を始めるとのことでした。 kras遺伝子の検査結果は「野生型」でした。2014年3月にも検査と定期検診を行い、次回の検査は6月ということでした。その間の4月に、夜中に腹痛、嘔吐と下痢があり、朝にはすべて治まっていましが、変化があったので翌週、報告を兼ねて医師の診察を受けました。 「感染性胃腸炎だったのでしょう。もう治まっているので問題ない。」という診断でしたが、その翌日腸閉塞を起こして入院しました。これにより認知症が進み、体力が衰え、抗がん剤治療はできなくなったと医師が言いました。 母は5月に退院し、現在この医師の勧めにより在宅医療を受けています。

※患者様の相談内容はWEB問診票から一部抜粋しております。

医師からの回答

総合癌診断医師
82歳と高齢であり、体力も落ちているとのことで、いろいろ難しい状態と考えられます。
放射線治療は抗がん剤よりも体に対する負担は少ないのですが、あくまでも局所療法であり、腸管に対して照射することはできませんので、今回の場合は、治療法として選択することはできません。基本的には、抗がん剤の適応ですが、体力が落ちている時点で無理に抗がん剤を使用すると副作用で体力がますます落ち、抗がん剤使用による利益よりも不利益のほうが大きくなってしまいます。
副作用の少ない治療法としては、免疫療法がありますが、今回のような状態に対して使用した場合のまとまったデーターはありません。
詳しくは、医師の診察で直接ご相談ください。(森山先生)
総合内科専門医

大変にご心配だと思います。確かに現状では化学療法などは体調を悪化させるだけでしょうし、樹状細胞免疫療法も体調などの状況からも難しいと思います。癌研病院などの漢方サポート外来が最適だと思います。詳しくは医師の診察で直接ご相談ください。(田口先生)

外科医
外科医として回答します。たびたびの手術で大変でしょうが、がんが腹膜播種を起こしているため腸閉塞を併発していると思います。他の先生の意見同様、局所治療はあまり意味がありません。残された治療は、抗がん剤と免疫治療になるかと思いますが、抗がん剤はご高齢で現在の体力では逆効果になることも予想されます。やはりこれまで治療を担当された先生とよく相談されて、今後の治療を選択してください。(草野先生)

※ドクターはWEB問診票に書かれた情報の範囲内で回答しており、実際の診断には直接の診察が必要です。