肺がん「症状の軽減、延命の方法は?」

公開日:2011年09月14日
プロフィール
中国人41歳女性 肺がん
相談内容
胸水があるので、症状の軽減、延命の方法として何が考えられるか。

医師からの回答

放射線治療医
放射線腫瘍医としての意見を述べさせていただきます。主訴に息苦しさと呼吸時の疼痛と書かれていますが問診票には息苦しさなし、痛みは軽度となっています。
良く理解できませんが、息苦しさと痛みがあるとしてお答えします。息苦しさの原因が胸水(がん性胸膜炎?)によるのか腫瘍圧迫による無気肺によるかにより治療方針は異なります。
前者だとすると胸壁に痛みの原因となる腫瘤形成のあるときのみ緩和的放射線治療の適応と考えます。また無気肺があれば同部に放射線治療をすることで息苦しさの改善する可能性はあります。しかし、いずれも胸部に放射線治療をするときにはイレッサを中止する必要もあります。画像があればもう少しはっきりとしたことも言えますが・・・。(柏原先生)

※(主訴と問診票の整合性について)
コメント後に確認した所、主訴として息苦しさと呼吸時の疼痛があり、検査した所、肺がんの診断を受けた。現在は症状が軽減されているという状態です。
腫瘍内科医
抗癌剤の専門家として意見を述べさせていただきます。胸水貯留が問題となる肺癌において抗癌剤による胸水コントロールが不十分な場合は、本web相談でも過去にご返答申し上げましたように胸膜癒着術が適切な対応法となります。
肺腺癌の胸水に関しては、カルボプラチン+パクリタキセル療法を含む従来の抗癌剤治療では充分に産生を抑えることは困難とされています。一方、ゲフィチニブを投与した場合、一旦は胸水産生を抑えることのできる可能性が極めて高いのですが、それでも残念ながらゲフィチニブの効果が乏しくなる時期が来た場合に胸水は再貯留することが予想されます。
従っていずれかの時期には胸膜癒着術が必要となる可能性が高いですので、初診時に胸水が問題となったのであれば、その手技に関して主治医の先生から充分な情報を得ておくことをお勧めします。
一方、呼吸時の疼痛に関しては、現在はおそらくカルボプラチン+パクリタキセル療法あるいはゲフィチニブにより改善したと思いますが、この疼痛の原因が何であったのかも主治医の先生に確認しておく必要があると思います。すなわち、純粋に癌性胸膜炎に起因するものであれば、疼痛は抗癌剤治療による癌性胸膜炎の改善および鎮痛剤に期待するところが大きくなりますし、疼痛が胸膜や胸壁に転移し結節を作るようなものに起因している場合は抗癌剤よりもむしろ放射線治療+鎮痛剤に期待するところが大きくなります。
肺腺癌で全身状態がよく、他の合併症がない場合の標準的治療の1つはカルボプラチン+パクリタキセル療法などのプラチナ併用2剤化学療法にベバシズマブという分子標的薬を加えた3剤併用療法であるとされています。しかしながら、今回の場合は、カルボプラチン+パクリタキセル療法にゲフィチニブを併用し、引き続きゲフィチニブを継続するという治療法で治療が開始されていますので、おそらく臨床試験に参加されたのだと推察します。
そうしますと、残念ながら現在のゲフィチニブの効果が乏しくなった場合に、次にベバシズマブという分子標的薬を使用する可能性もあります。胸水コントロールという観点では、従来の抗癌剤にベバシズマブを併用することで胸水コントロール率が更に高まるのではないかという期待が強く持たれている現状がありますので、主治医の先生に今後ベバシズマブを使用する予定があるかどうかも聞いておくとよいと思います。
延命という観点からは、ゲフィチニブが効果的であることがわかっている肺腺癌の場合には、魅力的な薬剤と治療法の開発状況に著しい進歩がみられています。参加資格などに制限がありますので一概には言えないのですが、これからも期待のできる臨床試験や治験が増えてきますので、主治医の先生とよく意見交換をなさりながら引き続き前向きな気持ちで治療を頑張ってください。 (関先生)
代表理事(総合内科専門医)
まとめを述べさせていただきますと、まず主治医の先生とお話して、分子標的療法(ベバシズマブ)が追加できる可能性があるかなど化学療法についてよくご相談ください。
またお話の上で肋骨転移などがあるかどうか、放射線治療の可能性があるかどうか聞いてください。(田口先生)