知って欲しい認定看護師制度

公開日:2011年11月01日

目次

病院には認定看護師と呼ばれる人達がいます。

認定看護師とは日本看護協会が認定している制度で、ある特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を持つ看護師さんが、認定審査に合格して資格を取得しているそうです。看護協会によると、主に3つ役割(実践・指導・相談)を果たすことにより、看護ケアの広がりと質の向上を図るとしています。実践という分野では患者さんやその御家族に対してケアを行うとされています。

がんの分野では下記の認定看護師が活躍しています。

緩和ケア認定看護師

疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫などの苦痛症状の緩和
患者・家族への喪失と悲嘆のケア

がん性疼痛看護

痛みの総合的な評価と個別的ケア
薬剤の適切な使用および疼痛緩和

がん化学療法看護

がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理
副作用症状の緩和およびセルフケア支援

乳がん看護

集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援
ボディイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援

がん放射線療法看護

がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援
安全・安楽な治療環境の提供

乳がん看護認定護師とは

10月16日(日)に埼玉県大宮市にて乳がん看護研究会が主催する市民公開講座~テーマ「乳がんについて、今私たちができること」~が開催されました。この中で乳がん看護認定看護師の方が御講演されておりました。「乳がんの患者さんは年々増加しており、女性の臓器別の罹患率では胃がんを抜いて第一位になっています。全摘出の場合は乳房再建をどう考えるか。術後の再発予防の治療をどのように行うのかなど、治療も複雑になっており、患者さんの選択肢が多くなっているために癌種別では初めての特定種の認定看護師制度ができました」とお話されていました。具体的な乳がん看護認定看護師の役割は、乳がん看護という考え方は英国腫瘍学会において、「ブレストケアナース」という言葉で明記されたことから始まったと言われています。日本では日本乳がん看護研究会が日本看護協会へ働きかけたのをきっかけに分野特定されたと言われています。

※カリキュラムで示されている期待される役割を下記の表に示します。

がん化学療法認定看護とは

大学病院の外来化学療法を担当されている がん化学療法認定看護師の方のお話を伺いました。勤務している病院では、院内にがん看護に関する検討委員会があります。委員会では、がん専門看護師、がん化学療法認定看護師、がん性疼痛認定看護師、緩和ケア認定看護師、各病棟のがん看護専門の看護師が所属して、情報などを各病棟とシェアしているそうです。医師や薬剤師と打合せをして、がん看護のマニュアルを見直したり、副作用の管理表などを患者さんの要望を捉えながら作成しているそうです。
認定看護師の資格まで取得している看護師さんの思いは強く、患者さんへのケアにも表れていると思います。お話の中では「抗がん剤の投与は、患者さんにとっては副作用との闘いともなります。身体の状況を診ながら、投与の量などをドクターと相談し、慎重にしなければなりません。」と語って頂きました。副作用には様々な症状があり、たとえば骨髄抑制の場合、白血球が低下したり、感染しやすい状態になります。患者さんが家に帰ってから、表れる症状もあります。不安にならないように、家族の方も一緒に説明に参加してもらい、「自宅に帰ってから出てくる症状があるかもしれません」などと伝えるようにしているそうです。

医療者と患者のコミュニケーション

患者さんやご家族は病気や将来の不安と闘っています。いままで経験したことのない医療という分野では、医療者とのコミュニケーションがうまくとれるかどうかが、治療法の選択や決定の時に大きな問題となってきます。医療者側も患者さんとのコミュニケーションが上手くいくように工夫しています。特に専門の資格制度を持った方を見つけてコミュニケーションをとるようにすると良いかもしれません。

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