【トピックス】健康食品を利用する前に留意したいこと

公開日:2018年6月1日

がん患者さんの多くが健康食品を利用

がん患者さんが体力を維持したり、感染を防止したりするためには、バランスの良い食事をとってエネルギーや、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足しないようにすることが大切です。

しかし、病気の心配や治療の不安、生活環境の変化、治療の後遺症や副作用など、さまざまな要因によって食欲は低下します。食事で不足する栄養を補うためにサプリメントなどの健康食品を利用する患者さんは少なくありません。

厚生労働省の研究班が2005年に報告した国内のがん患者さんにおける補完代替医療の利用実態調査によると、約45%が1種類以上の補完代替医療を利用し、そのほとんどが健康食品でした。補完代替医療とは、がん治療を補ったり、がん治療の代わりに行ったりする医療のことです。

近年、さまざまな健康食品が流通しています。国は、国民が適切に健康食品を選ぶことができるように保健機能食品制度を設けており、安全性や有効性の規格基準を満たした食品は「保健機能食品」と表示されています。保健機能食品には、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」があります。

保健機能食品のほかにも、「いわゆる健康食品」として、「健康補助食品」「栄養補助食品」「栄養強化食品」「栄養調整食品」「健康飲料」「サプリメント」などの名称がついた食品が流通しています。「いわゆる健康食品」は、国が制度化しているものではなく、表示の許可、認証、届出などの規制はありません。

(健康食品区分_厚生労働省HPより)

抗がん剤の効果に影響を及ぼす成分も

健康食品には、錠剤、カプセル、顆粒などさまざまな形のものがあります。薬のように見えるので、いつの間にか健康食品を薬と同じような感覚で使用してしまうという可能性もあります。いうまでもなく健康食品と薬とはまったく別のものです。健康食品の間違った使い方で、病気の治癒が遅れたり、逆に症状が悪化したりすることがあるので注意が必要です。

健康食品を利用するうえで特に注意しなくてはいけないのは、薬との相性(相互作用)です。薬と相性が悪い健康食品をとると、治療に悪影響が出ることがあります。

例えば抗がん剤の中には葉酸によって治療薬の効果が弱くなったり、必要以上に強くなったりする薬もあります。新しい抗がん剤が次々に開発されるようになって、健康食品との相互作用に関する研究が追い付かないのが現状であり、それだけ注意が必要になります。

健康食品(成分)と医薬品を一緒に摂取した場合に影響が出ることが想定される組み合わせは次の通りです。

【ビタミン類】
  • ・葉酸と葉酸代謝拮抗薬(抗がん剤)で薬の効果が減弱
  • ・葉酸とフルオロウラシル、カペシタビンなど(抗がん剤)で薬の効果が増強
  • ・ビタミンB6とフェニトイン(抗てんかん薬)で薬の効果が減弱
  • ・ビタミンK(青汁、クロレラを含む)とワルファリン(抗凝固剤)で薬効の減弱
  • ・ビタミンCとアセタゾラミド(抗てんかん薬)で腎・尿路結石のおそれ
  • ・ナイアシンとHMG-CoA還元酵素阻害薬(高コレステロール血症治療薬)で副作用の増強
    (急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症)
  • ・ビタミンDとジギタリス製剤(心不全治療薬)で薬効の増強
【ミネラル類】
  • ・カルシウムと活性型ビタミンD3製剤(骨粗鬆症薬)で腸管からのカルシウム吸収を促進
  • ・カルシウムとジギタリス製剤(心不全治療薬)で薬効の増強
  • ・カルシウムとビスホスホネート系製剤(骨粗鬆症薬)で薬効の減弱
  • ・カルシウムとテトラサイクリン系抗菌剤(抗生物質)で薬効の減弱
  • ・カルシウムとニューキノロン系抗菌薬など(抗生物質)で薬効の減弱
  • ・マグネシウムとテトラサイクリン系抗菌剤(抗生物質)で薬効の減弱
  • ・マグネシウムとニューキノロン系抗菌薬など(抗生物質)で薬効の減弱
  • ・マグネシウムとビスホスホネート系製剤など(骨粗鬆症薬)で薬効の減弱
  • ・鉄とタンニン酸アルブミン(下痢止め)で薬効の減弱
  • ・鉄とビスホスホネート系製剤(骨粗鬆症薬)で薬効の減弱
  • ・鉄とメチルドパ(降圧薬)で薬効の減弱
  • ・鉄とテトラサイクリン系抗菌剤(抗生物質)で薬効の減弱
  • ・鉄とニューキノロン系抗菌薬など(抗生物質)で薬効の減弱
【その他】
  • ・中性アミノ酸とレボドパ(抗パーキンソン病薬)で薬効の減弱
  • ・コエンザイムQ10と降圧薬、糖尿病治療薬で薬効の増強

(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部「健康食品の正しい利用法」より)

本当に健康食品が必要かどうかをよく考える

食事、サプリメント、健康食品などによる補完代替医療は以前からがん体験者でも行われています。しかし、実際に科学的方法を用いた本格的な研究が行われるようになったのは2000年代後半になってからです。ただし現時点では、がんの再発率や生存率を改善することが、複数の臨床試験(ランダム化比較試験)の総合評価(システマティック・レビュー)によって確認された食事療法、サプリメント、健康食品はないといわれています。

保健機能食品でもいわゆる健康食品でも、それだけを摂取して健康になることはまずありえません。健康食品を含め補完代替療法を利用する前に次のことをチェックしてみましょう。

  • □この補完代替療法について、担当医に相談して、賛成が得られたか
  • □この補完代替療法は、あなたが行っている治療に悪影響を及ぼさないことが確認されているか
  • □この補完代替療法について、家族や経験者、第三者など冷静な意見を得られる人に相談したか
  • □この補完代替療法の効果を自分は冷静に判断しているか
  • □この補完代替療法は本当に自分にとって負担になっていないか。お金や時間、快適さの点で無理をしているところはないか
  • □補完代替療法を受けるオフィスやスタッフに不快な気分を感じなかったか
  • □この補完代替療法の専門家は、標準的ながんの治療について、信頼できる発言をしているか。補完代替療法の効果を過度に宣伝してはいないか

(国立がん研究センター「がん情報サービス」より)

そして、本当に健康食品が必要かどうかをよく考え、迷った場合はかかりつけ医や行きつけの薬局の薬剤師に相談をするようにしましょう。

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