【QOL(生活の質)】闘病のエネルギーを充電する旅行の楽しみ

公開日:2015年6月30日

旅の健康効果

 がんを患っても自分らしく生きたい。旅行や外出を通じて、家族や仲間と大切な思い出を作りたい。でも……。出先で何かあったらと不安で一歩を踏み出せないという人は少なくないでしょう。しかし、体調が良く、主治医の許可があれば、気分転換のためにもぜひ楽しみたいもの。医師からの特別な指導がない限り、主治医に相談の上、自分の体調に合わせて旅行に出かけてみてはいかがでしょうか。

一般社団法人日本旅行業協会(JATA)が調査した「旅の健康学的効果」によると、旅によって日常的な悩みが解消されてストレス反応が和らぎ、達成感や幸福感など精神的健康感も高まることがわかりました。しかも、これらの効果は旅行後2日間が最も高くなるといいます。

また、旅の出発時点からがん細胞の増殖を抑えるNK細胞の活性化が始まり、旅行から帰って2日後まで活性化が続くとのこと。さらに、活性酸素を消去させて、細胞のサビつきや肌の老化、動脈硬化などを抑えるSOD酵素の増加も見られたといいます。

旅の効果はこれだけではありません。子育て世代のがん患者さんの場合、子どもと一緒の旅行は、家族それぞれにとって忘れがたい幸福な思い出として残ります。がん患者さん本人にとってはもちろんのこと、常に寄り添い支えてくれる家族にとっても、旅行の楽しみがエネルギーになるのではないでしょうか。

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旅行は体調に合わせて

 日帰りのドライブや、宿泊を伴う国内旅行、そして海外旅行。個人旅行やパッケージツアーなど、旅の行き先も旅行スタイルもさまざまです。旅の楽しみは患者さん自身や同行する家族の行きたいところ、楽しみ方を決めるところから始まります。その際に、治療中の場合には、主治医に相談することが大事です。自身の希望や家族の要望と医師の助言、そして体調の許容範囲をすり合わせ、行き先や日程などを決めていきましょう。

旅行の計画を立てるときに大事なのは、体力的にも気持ちの面でも余裕を持つことができるように、ゆとりのあるスケジュールを組むことです。また、旅行に関わる体調の不安など少しでも心配なことがあれば、主治医に相談しておきましょう。旅行中の注意事項や急な体調不良の場合の対応方法などを事前に聞いておくと安心して出発できます。

出発する前に、処方薬と健康保険証を持っているかどうか、必ず確認するようにしましょう。また、手術でリンパ節を切除した患者さんは、キャリーバッグを使うなどして、手術した側の手を使って重い荷物を持たないようにしましょう。暑い時期は冷房の効いた室内と気温の高い屋外では温度差があり、場所によっては朝晩で大きな寒暖差が生じることもあります。気温の変化にも対応できるような衣類の準備をすることも、旅行中の体をいたわる上で大切です。

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旅行中に介助や介護が必要な場合

 医学的な管理が必要な方でも状態が安定していて主治医の許可があれば、旅行に行ける可能性は十分にあります。旅行会社の中には、看護師や医師が旅行に同行し、医学的な管理を行うサービスを実施しているところがあります。

また、訪問看護サービスの事業所などでも、こうしたサービスに対応している場合があります。ただし、同行する医療職の人件費や旅行経費などが発生するため、旅行費用の負担は大きくなります。

こうした専門的な支援を希望する場合には、旅行会社などに問い合わせてみましょう。その際に参考になるのがJATAのホームページ上にある「バリアフリー旅行問合わせ先一覧(JATA会員会社)」の情報です。バリアフリー旅行を扱っているJATA会員会社の窓口一覧とコメントが掲載されています。

国内旅行の手配だけではなく海外旅行を取り扱っている旅行会社もあります。サービス内容やその費用を知りたい場合には、患者さんや家族の事情および希望に合わせて相談してみるとよいでしょう。

海外旅行で注意したいこと

 海外旅行に行く場合には、現地の医師が的確な治療を実施できるように英文の診断書が必須です。主治医に英文を書いてもらえない場合には、一般社団法人日本渡航旅行学会のホームページ で公開されているトラベルクリニックなど、英文診断書作成サービスを行っている医療機関を利用するとよいでしょう。

疼痛緩和のために医療用麻薬を使用している場合には、医師の診断書と麻薬の輸出入許可書が必要です。詳しくは関東信越厚生局のホームページで示されている「麻薬及び向精神薬の携帯輸出入許可申請について」を閲覧してください。

なお、海外旅行中にがんに関連して医療機関を受診した場合、公的な医療保険に加入していれば、受診した病院でいったん全額を支払い、帰国後に払い戻しを受ける海外療養費制度を利用することができます。

ただし、治療費の全額が払い戻されるわけではありません。日本国内で治療を受けた場合に給付される金額と、現地で実際にかかった医療費を比べて、少ないほうの金額から一部負担金を除いた金額が払い戻されます。必要な手続きなど詳しい内容については、旅行に行く前に一度ご加入されている公的医療保険の窓口に問い合わせておくとよいでしょう。

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