【QOL(生活の質)】加齢に伴う身体の変化と食事のバランスⅠ

公開日:2013年11月05日

目次

加齢に伴う身体機能の変化(食事)

 一般的にがんの罹患率は50歳代位から増加し、高齢になるほど高くなります。(独立行政法人国立がん研究センター「年齢階級別癌罹患率2008年」)さらに一度、がんに罹られた方にとっては、周りからどれだけ「もう大丈夫」と言われても、心の中から再発の可能性を忘れられるものではありません。

 孫子の「敵を知り己を知れば百戦殆からず」ではありませんが、 がんやその不安と長期的に戦っていくためには、がんという敵だけでなく加齢自身の身体に起きる変化を知り、上手く付き合っていくことが必要となります。そこで「加齢に伴う身体の変化と食事のバランス」と題し、馴染み易い基本的な内容からご紹介します。

 まず、分かり易いものでは、加齢が進むと若いころと比べて食欲が低下することが知られています。
 次に、個人差はありますが、循環器系の心臓や呼吸器などの能力低下が起きたり、運動不足などによる筋力の低下などがおきてきます。身体全体が必要とするエネルギー量は少なくなり、食事の量が減っていくと考えられています。また味覚や嗅覚の低下も食欲に大きな影響を与えていると考えられます。料理の味や香りを感じなければ食欲も進まなくなると考えられます。歯の強さも関係してくるでしょう。
 これに対して 公益財団法人長寿科学振興財団 では、生活と食事の工夫をすることで必要な栄養素の摂取をよびかけています。

・食べたい時に少しずつでも食べるようにしましょう。
・自分の力で食事を摂取するようにしましょう。
・食事の時間が楽しくなる雰囲気づくりを心がけましょう。
・摂取栄養素の多様性、バランスに気を付けて、大切なエネルギー源である肉・魚・卵・大豆製品などのタンパク質は毎日摂取しましょう。
・少量で栄養が確保できる栄養補助食品も上手に使いましょう。

 また厚生労働省策定の資料によると下記のように高齢期の栄養摂取に関してまとめられています。必要なカロリーを自分の年齢と生活スタイルから考えてみると良いでしょう。

食事摂取基準表

栄養素の種類と働き

 食事によって体内にとり込まれた食べ物は、そのままの状態で血や肉になるわけではありません。消化・吸収されたのち、分解・合成を経て、健康を保つのに必要な成分に変えられます。このことを代謝といい、これらの一連の生命活動のことを「栄養」といいます。この生命活動のために、食べ物から摂取される栄養成分が「栄養素」です。

 栄養素の主な働きは「エネルギー」になること、「身体を作る」役割、「身体の調子を整える」ことです。 エネルギーになるのは「糖質」「脂質」「たんぱく質」で、この3つを「3大栄養素」といいます。脂質とたんぱく質は体を作るもとになります。体温を維持し、活動したり呼吸したりするのに必要なエネルギー源となります。

 次に「身体を作る」役割。体内では、生命を保つため、食事で摂取する栄養素から細胞が作られています。 そして「身体の調子を整える」こと。内臓の各器官の働きを整え、代謝をスムーズにするのにも栄養素が必要です。「3大栄養素」に「身体の調子を整える」ビタミン、ミネラルを加えたものを「5大栄養素」といい、生命活動の基本となります。

栄養素名 主な働き 多く含む食品
たんぱく質 エネルギーになる。体をつくる 肉、魚、卵、大豆製品など
脂質 エネルギーになる バター、マーガリン、植物油、肉の脂身など
炭水化物 エネルギーになる ご飯、パン、めん、いも、砂糖など
ビタミン 体の調子を整える 緑黄色野菜、果物、レバーなど
ミネラル 骨や歯などをつくる。体の調子を整える 海藻、牛乳、乳製品、小魚など

※農林水産省HPより( http://www.maff.go.jp/j/fs/diet/nutrition/

 

 たんぱく質は、筋肉、内臓、皮膚、毛髪などの人体の様々な部分を作り出す栄養素です。たんぱく質は、「動物性たんぱく質」と「植物性たんぱく質」の2つに分類することができ、「動物性たんぱく質」は肉類、魚介類、乳製品などから摂取することができます。「植物性たんぱく質」は大豆などの豆類に多く含まれています。動物性と植物性のそれぞれのたんぱく質をバランスよく摂取することが良いとされています。

 脂質は、体内で神経組織や細胞膜、ホルモンなどを作り出す栄養素です。ばら肉などの脂身を含む肉や、あんきも、レバー、マーガリン、バターなどに多く含まれています。体を動かすエネルギー源として使われています。

 炭水化物は糖類や糖質、食物繊維の総称で、身体を動かすエネルギー源と使用される栄養素です。脂質と比較すると燃焼が早くすぐにエネルギーとして使われることが知られています。糖質は主食である白米や麺類、パンなどに多く含まれています。

 ビタミンは全部で13種類あり、それぞれの種類によって役割が異なります。他の栄養素の吸収を助けたり、血液の循環を良くしたりします。主に補助的な役割を担っています。ビタミンは「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」に分類することができます。水溶性ビタミンは体の中にためておくことができず、毎日の食事の中で摂取することが大切です。ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCなどがあります。

 脂溶性ビタミンは排出されにくい特徴があるので、摂取しすぎてはいけません。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの4種類です。主に野菜や果物に多く含まれています。バランスよく摂取するためにサプリメントを使用することも考えられます。

 ミネラルは主に骨や歯を作り出す栄養素です。不足すると骨密度が低下して骨粗しょう症になりやすくなると言われています。ミネラルには、カルシウム、マグネシウム、鉄、ナトリウムなどがあります。この栄養素も毎日の食事から摂取する必要があります。ビタミンと同じように過剰摂取は逆効果ですので必要量を考えることが必要です。
主に海藻や小魚、乳製品などに多く含まれています。ビタミンと同じようにバランスよく摂取するためにサプリメントを使用することも考えられます。

バランスの良い食事を意識する

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 「病気予防や健康生活を継続するために食事に気を付けなければ」と頭では分かっているつもりでも、なかなか実行できない方も多いと思います。一日の食事を振り返ってみていただくといかがでしょうか。好きなものばかりに偏ってはいないでしょうか。

 サラダや野菜の汁物などをプラスしていただくだけでも、栄養のバランスが良くなります。食生活を意識することで健康維持につながります。

 シニア世代ではがんの罹患だけでなく生活習慣病リスクが上昇する傾向がみられます。日常生活でも、食事面では内臓機能の衰えから栄養素の吸収低下や、食事量の減少による栄養不良など、栄養不足も起こりやすくなります。

 シニア世代の方向けに栄養補助を目的した医師監修サプリメントをご紹介させて頂きます。 体調がお一人おひとり違うように、必要なサプリメントは異なります。管理栄養士が食生活、生活習慣をお伺いし、最適なサプリメントをご提案させて頂きます。

 ※薬ではありませんので、癌そのものに対しては主治医の先生の指示に従って下さい。
  リンク先は、(社)あきらめない癌治療ネットワークの会員
  「株式会社アドバンスト・メディカル・ケア」様のサイトです。

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