2018年10月27日(土)14:00~ フクラシア八重洲(東京)にて開催 あきらめないがんセミナー

【最新医療】がん治療の最前線の研究成果が集結

最先端がん治療紹介の編集方針について

「再発転移がん治療情報」では、がん治療に精通した医師の方へのインタビューや学会、患者会ほか独自の取材を通して、新しいがん治療情報を随時ご提供しております。手術、抗がん剤、放射線治療と言った標準治療の中でも最新の治療法や、免疫療法や漢方など注目の治療法を取り上げていきます。また、このサイトでは特に進行がんやがんが再発・転移された方に有用と思われる情報を掲載していきたいと考えております。
がん治療に関するニュースや情報サイトは他にもたくさんありますが、再発・転移がんに特化したものは少なく、また、毎日更新される膨大な情報をチェックし、ご自身の治療に役立つものをピックアップしていくことは容易ではありません。
本サイトでは、再発・転移がんの治療を対象としたトピックをどなたにも分かりやすくお伝えし、治療を必要とされる患者様へ新しい選択肢をご提供したり、前向きに治療に取り組むお手伝いが出来るサイト作りを目指しております。

公開日:2015年6月30日

第13回日本臨床腫瘍学会学術集会のプレスセミナー開催

 第13回日本臨床腫瘍学会学術集会(会長:北海道大学大学院医学研究科腫瘍内科学分野教授・秋田弘俊氏)のプレスセミナーが6月25日に国立がん研究センターで開かれました。同学術集会のテーマは「難治がんへの挑戦――医学・医療・社会のコラボレーション」です。総演題数は1,571演題。プレスセミナーでは各領域のトピックスなどが紹介されました。同学術集会でもっとも注目されている研究テーマとして、「がんゲノム解析に基づく新薬開発」、「がん免疫療法」についてご紹介します。

最新のがんゲノム解析に基づく新薬開発

 非小細胞肺がんのドライバー遺伝子として2004年にEGFR遺伝子変異、2007年にALK融合遺伝子が発見され、非小細胞肺がんの治療体系は大きく変わりました。ドライバー遺伝子とは、がん遺伝子、がん抑制遺伝子といったがんの発生・進展において直接的に重要な役割を果たす遺伝子のことです。

いくつかの第Ⅲ相試験で、標準治療である細胞傷害性抗がん剤より分子標的薬のほうが治療成績は優っていることが明らかとなりました。その結果、EGFR阻害薬やALK阻害薬はそれぞれの遺伝子異常をもつ非小細胞肺がんに対する標準治療に位置づけられることになりました。治療ガイドラインも遺伝子異常に基づいて治療方針が細かく定められています。

非小細胞肺がんではほかにRET、ROS1、BRAF、KRASなどさまざまなドライバー遺伝子が同定されています。遺伝子異常に基づく個別化治療への期待が膨らみますが、ドライバー遺伝子の多くは発現頻度が5%未満です。そのため、これらの希少な非小細胞肺がんの治療法の開発は容易ではありません。

そこで、国立がん研究センターが中心になって全国規模の遺伝子スクリーニングネットワークが組織され、2年前から希少な遺伝子異常を有する非小細胞肺がん患者の遺伝子スクリーニングが始まりました。今年3月6日までに、全国194施設で1,423例の遺伝子が解析されました。

その結果、ROS1融合遺伝子陽性肺がん(4%)、RET融合遺伝子陽性肺がん(2%)、ALK融合遺伝子陽性肺がん(2%)や、ほかにBRAF遺伝子変異陽性肺がん、ERBB2遺伝子変異陽性肺がんなどがスクリーニングされています。現在、産学連携によって、大量のDNAの塩基配列を短期間で解読できる高速シークエンサーを使ったマルチプレックス診断法による大規模な遺伝子スクリーニングが進められています。スクリーニング検査を受けた患者さんは遺伝子解析の結果に基づいて医師主導治験や企業治験に参加します。こうした取り組みによって、がんの病態が解明され、新しい治療法の開発につながっていくことが期待されています。

最新のがん免疫療法

 手術療法、放射線療法、化学療法に続く、第4の治療法「がんの免疫療法」。そのなかでも世界的に注目されている「免疫チェックポイント阻害剤」は同学術集会の最重要テーマの1つとなっています。

免疫システムのなかでがん細胞は、抗原提示細胞を介して活性化したT細胞による攻撃を受け細胞死(アポトーシス)へと誘導されます。しかし、なかには攻撃をかいくぐって生き残るがん細胞もあります。免疫監視機構の認識・排除から逃れたがん細胞は無制限に増殖を始めることになります。

この過程で重要なカギとなるのがT細胞の表面に発現する免疫チェックポイント受容体のPD-1(programmed cell death-1)、抑制性細胞膜タンパク質のCTLA-4(cytotoxic t-lymphocyte antigen-4)などのT細胞活性化調節因子をはじめとする抗腫瘍免疫応答です。

T細胞がCTLA-4を発現するとT細胞の増殖・活性は抑制され、抗腫瘍免疫反応が抑えられます。がん細胞は免疫監視機構を逃避するためにCTLA-4免疫チェックポイント経路を利用してT細胞の攻撃力を弱めようとします。一方、PD-1はT細胞の活性化抑制の役割を持っており、がん細胞は表面にあるリガンド(PD-L1、PD-L2)をT細胞のPD-1受容体に結合させてT細胞の活性を邪魔して免疫監視機構から逃れようとします。

がん免疫療法で使われる免疫チェックポイント阻害薬である抗CTLA-4モノクローナル抗体、抗PD-1モノクローナル抗体はこのメカニズムを逆手に取った治療薬といえます。がん細胞によって抑制状態にされた免疫応答を活性化し、がん細胞を排除します。

日本では昨年、進行悪性黒色腫に対してPD-1抗体療法が承認されました。非小細胞肺がんに対しても承認の期待が高まっているほか、他の多くのがん種についても臨床試験が行われています。

※8月号では、同学術集会で発表された研究報告から有益な情報をご紹介します。

同学術集会のポスター(PDF:1.48MB)